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知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

筋膜リリースとストレッチの違い。そして、筋膜リリースの禁忌事項とは?

最近はテレビなどでも「筋膜リリース」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

リハビリ業界でも徐々に浸透し始めてきた言葉ですが、最近特にメディアが扱うようになってきたと感じています。

 

ストレッチみたいなもの・・?

 

聞いたことはあるけど詳しくは分からない・・という方は多いのではないでしょうか。

そこで今回は筋膜リリースについてできる限り分かりやすく解説していきたいと思います。

 

そもそも筋膜ってなにもの?

筋膜とは

筋膜とは名前の通り、筋肉を覆っている薄い膜のことを言います。

筋膜は「第2の骨格」とも呼ばれています。

筋膜は全身に連なる結合組織で、3次元的に身体全体を覆っています。

イメージとしては並列に正しく並んでいるのではなく、縦横無尽に走っている網の目のようなものだと言えます。

また、筋膜はコラーゲン(膠原)線維とエラスチン(弾性)線維から構成されており、浅筋膜・深筋膜・筋外膜・筋周膜・筋内膜の5つに分類されています。

 

筋膜は繋がっているもの

筋膜は一定の法則に従ってお互いに連結しあうことで3次元的なバランスを保っています。

そのため、筋膜のある一か所に機能障害が起きると離れた部位に影響を及ぼすこともあるという特徴があります。

筋肉そのものはお互いに繋がっているわけではありませんが、筋膜は連結して繋がっているのです。

 

痛みの原因は筋膜の癒着?

筋膜の癒着と痛みの関係

筋膜は上記のようにコラーゲン線維エラスチン線維で構成されており、そのほとんどが水分です。

その水分が減少していくことによりコラーゲン線維・エラスチン線維の間を埋めている部分の流れが悪くなりドロドロとした状態になります。

そしてゼラチンのように固まり、コラーゲン線維とエラスチン線維の新陳代謝を妨げ次第に筋膜が癒着していきます。

この筋膜の癒着が人体の痛みの原因となってくる場合があるのです。

 

なぜ筋膜が癒着してしまうのか

筋膜が癒着してしまう原因はいくつかありますが、その一つにストレスが挙げられます。

ストレスそのもので筋膜が癒着するわけではありませんが、人間はストレスを感じると自然と肩をすくめたり、歯を食いしばるような動作をすることが多いです。

普段からストレスを感じている人は無意識のうちに全身に力が入っていることが考えられます。

このようにストレスによって持続的に力が入る状態が続いたり、普段使わない筋肉を使うことで筋膜の癒着の原因になることもあります。

 

筋膜リリースとストレッチの違いについて

それぞれの目的と対象

筋膜リリースとストレッチは見た目が似ているようなものも存在しますが、狙っている対象の箇所(組織)や目的、実施時間などに違いがあるので注意が必要です。

それぞれの違いを下記にまとめてみました。

 

〇筋膜リリース

対象箇所:筋膜の癒着またはねじれがある箇所

目 的 :癒着またはねじれた筋膜の修正・改善

実施時間:おおむね90秒以上必要とされている

 

〇ストレッチ

対象箇所:自分が伸ばしたい筋肉の箇所

目 的 :筋肉の柔軟性・伸張性の向上

実施時間:おおむね10~30秒程度

 

筋膜リリースの禁忌事項

筋膜リリースをやってはいけない場合(禁忌)を以下に紹介します。

発熱中の方・転移のある癌(過去5年以内に再発している場合)の方・感染症の方・妊娠中の方・骨粗鬆症の方・合併症を伴う糖尿病を患っている方・体に怪我腫れのある方・骨膜炎、皮膚硬化症などの結合組織の炎症のある方・手術直後の方・医師のもとでコントロールされていない循環系疾患を患っている方・医師から徒手療法やマッサージを許可されない疾患のある方

 

などの方が禁忌の対象となりますのでご注意ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

最近よく聞く言葉となってきた「筋膜リリース」ですが今後はもっと聞く機会が増えていくのではないでしょうか。

それほど医学界やリハビリ業界では定着してきています。

日ごろのストレッチではなかなか改善しない痛みがあるような方はもしかすると筋膜が原因にあるかもしれません。

そのような場合にはぜひ筋膜リリースを試してみてその効果を比べてみるのが良いと思われます。

適切なやり方を知りたい場合は専門書が徐々に出版され始めているためそちらを参考に行ってみるのが良いと思います。

高次脳機能障害の基礎

はじめに

臨床場面において、高次脳機能障害の患者さんに出会う機会は多くあると思います。

しかし、症状は多岐にわたる上、質や程度の幅が大きいため、スクリーニング検査だけでは症状がとらえられないことも多く、頭を悩ませた経験もあるのではないでしょうか。

ここでは、高次脳機能障害の基本的な症状について解説していきます。

 

定義

主として大脳、大脳辺縁葉、視床、視床下部、中脳など、中脳神経系のうち比較的高位に位置する領域の損傷によって生じる行動および認知能力の障害とされます。

行動とは、眼球運動、発話、肘を曲げる、指をさす、歩く、走るといった一関節の運動から全身的な動きまで、人が引き起こす全ての動きを含みます。

認知とは、いわゆる精神的な行動を指し、意識、感情、記憶、思考、知覚、問題解決等を含みます。

症状を評価する上で、外見としてとらえることができるのは行動の障害であって、認知の障害は全てが外から観察できるとは限りません。

 

注意障害

注意機能は、以下のように分類され、これらの機能が密接に関係し症状が現れます。

 

・覚醒度

目を覚まして外界に対する刺激に適切に対応できる状態を指し、低下するとぼんやりと頭が冴えない、集中が続かないといったことが生じます。

 

・持続的注意

思考や行為を有効に成立させるために、選択した刺激に注意を向け続けることです。

これが障害されることで、同じ動作を継続して行うことができず、他の事に注意が逸れたり、ミスが増えるといった症状に現れます。

 

・選択的注意
多くの刺激の中からある特定の刺激を選び、そこに注意を集中することをいいます。

これが低下することで、沢山の物の中から自分が探している物を見つけられなかったり、騒音の中から話し相手の声を選択的に聞き取ることができないといったことが生じます。

 

・注意の転換性(転動性)

一定の刺激に注意を向けつつ、必要ならより重要な刺激に向けて注意を切り替えることであり、亢進するとひとつの事に集中できず、周囲の関係のない刺激に注意が逸れてしまいます。

一方、低下すると他のことにうまく注意を転換できず、ひとつのことに固執してしまいます。

 

・配分的注意

複数の刺激に同時に注意を配る機能です。

障害されることで、話を聞きながらメモを取ることや、複数の作業を同時進行する料理などが困難になります。

 

記憶障害

短期記憶障害では少量の情報を銘記、短い時間保持し再生することが困難になり、数桁の炊事の復唱や数分前に記憶した単語を忘れるといった障害が現れます。

意味記憶の障害は、語彙や概念等の知識に関する記憶が障害され、言葉の意味が理解できない、説明することができないといったことが生じます。

エピソード記憶は個人的な体験・出来事、いわゆる思い出に関する記憶であり、障害された時点から見て、後の(新しい)情報の記憶が障害されることを前向性健忘、前の(古い)情報の記憶が障害されることを逆向性健忘といいます。

 

半側空間無視

右半球脳損傷後の高次脳機能障害として最も多くみられます。

右半球の脳血管障害の急性期において軽度のものも含めれば、半側空間無視は約4割の患者に認められています。

半側空間無視は、大脳半球の病巣と反対側の刺激に対して、発見して報告したり、反応したり、その方向を向いたりすることが障害される病態とされています。

多くは右大脳半球が空間性注意において優位であるため、左の半側空間無視が多く認められます。

例として、食事を食器の左側だけを残す、左上肢や下肢が車いすから落ちていても気づかない、左側に置いてある物が見つけられない等が挙げられます。

 

失認

・視覚失認

物体を認知するための視力や視野が保たれているのに、そのものが何であるかわからない状態です。

これにより、物品の呼称や使用法の説明、図の模写等が困難になります。

 

・相貌失認

知っている相手の顔を見ても誰なのかわからないという症状が現れます。

人の顔であることや、目や鼻等の構成の認知は保たれていますが、馴染みのある人の顔でも名前やどういった人物かが言えなくなります。

一方で、顔を対象とする認知障害であるため、相手の声を聞くと誰であるか認知することができるのが特徴です。

 

・地誌的障害

熟知した建物や風景、道順等の認知が障害され、よく知っている場所を想起できなかったり、道に迷ってしまう状態です。

よく知っている街並みの同定が困難となる「街並み失認」、今いる場所や建物がわかるが、目的地までの道順の想起が困難になる「道順障害」、知っている場所の地図や部屋の間取りを想起することができない状態の「地誌的記憶障害」に分類されます。

 

・聴覚失認

聴力は保たれているが、聞こえた音が何であるかわからない状態をいいます。

側頭葉を中心とした損傷によって多く認められます。

よく知った動物や車、電話などの音に対する認知が障害されます。

 

失語

失語は発話の流暢さによって「流暢性失語」と「非流暢性失語」に分類され、程度は異なりますが、大きく分けて発話、理解、呼称、復唱が障害されます。

 

①流暢性失語・・・発話が比較的滑らかで自発話の量が正常に近い状態です。

 

・ウェルニッケ失語
中~重度の理解障害、復唱障害があり、発話は流暢で多弁ですが錯語が多いのが特徴です。理解と換語が困難なため、会話がかみ合わないことや内容に乏しいことが多いです。
主に左頭頂葉後上部に起こり、後方への範囲が広いとより読み書きの障害が強く生じます。

 

・超皮質性感覚失語

理解障害、換語の困難さが生じます。

復唱が良好であることが、ウェルニッケ失語とは異なる特徴です。

 

・健忘失語

流暢な発話、理解と復唱も良好な一方で、換語の困難さや迂言、指示代名詞が目立ちます。

錯語も生じますが、多くは言い間違えたことを自身で気付くことができます。

 

・伝導失語

音韻性錯語の目立つ発話および復唱と呼称を特徴とします。

書字においても錯書がみられます。

しかし、言い間違いに自身で気付き、修正することができます。

理解はほぼ正常に保たれています。

 

②非流暢性失語・・・発話がないか、少ししか話さない状態です。

 

・ブローカ失語

理解障害は軽度~中等度であり聴覚的理解は比較的保たれています。

発話量は少なく、一語~数語の努力的な発話となります。

復唱や書字においても同程度の障害がみられます。

 

・超皮質性運動失語

高音は良好であるものの、著しく発話量が低下し、話をしても時間がかかり短文しか話せない状態になります。

聴覚的理解はブローカ失語と同程度に比較的良好ですが、呼称や書字は困難になります。

 

・全失語
発話、理解、復唱、呼称、読み書きが重度に障害されます。

発話はほぼなく無言の状態であることが多く、あっても意味のない発声となることがほとんどです。

 

・混合型超皮質性失語

復唱のみ良好で、それ以外は全失語と同程度で重度に障害されます。

発話もほとんどない状態となります。

 

失読、失書

読み書きする能力の障害であり、読み及び理解の障害、書字の障害、読み書きの両方とも障害される場合があります。

 

・純粋失読

書字能力は保たれますが、音読することと理解の障害がおこります。

単語よりも文章でより障害が明らかな場合が多く、なぞりながら読むことで音読が可能になることが多いです。

 

・純粋失書
自発書字、書き取りが困難になる状態で、通常両手に現れます。

書くことができても、その過程で想起や書字に時間がかかったり、書き方に迷うといった所見があれば失書と判断されます。

読みの能力は保たれています。

 

・失読失書

失読と失書が同時に生じたものであり、読みと理解、書字が困難になります。

 

行為の障害

運動麻痺がないにも関わらず、動作を遂行することが障害されたり、意思とは反する行為や行動がおこる状態です。

 

①失行

運動麻痺がないにも関わらず、行為の遂行が困難になります。

 

・観念運動失行

動作の模倣及び道具を使う真似が困難になります。

例えば、バイバイと手を振る動作の模倣や、くしで髪をとかす真似(実際に道具は使わないパントマイム)ができなくなります。

 

・観念失行

道具を使用方法や持ち方を間違えたり、動作の使用方法を説明することが困難になります。

 

・肢節運動失行

普段から行っている慣れた動作でも動作がぎこちなくなったり、拙劣さが生じます。

 

・拮抗失行

左右で反対の行為を行ってしまう状態です。

例えば、右手では本のページをめくろうとしているのに、左手はそれを邪魔しようとするといった行為がみられます。

 

・脳梁失行

右上肢の行為は保たれますが、左上肢において錯行為や保続といったことが生じます。

口頭命令での動作や道具使用の模倣などでみられることが多いです。

 

②運動維持困難

開眼、開口、挺舌などの動作を一つあるいは二つ以上同時に維持することができなくなります。

例えば、指示した秒数の閉眼維持ができなかったり、上肢の挙上を保つよう教示してもすぐに中断してしまうといった所見があります。

 

遂行機能障害

遂行機能は人が目的的活動を営んだり、問題を計画的・合理的に解決する上で必要な機能であり、「目標の設定」「行為の計画」「計画の実行」「効果的な行動」の4つの要素からなっています。

遂行機能障害はこれらの要素を機能させるための判断や思考が障害された状態をいいます。

言語、記憶、行為などの機能は保たれていますが、それらを制御し統合することができない状態です。

例えば、仕事において優先順位を決めたり効率良く作業を進めることができなかったり、料理の献立や分量など計画を立てて作ることができないといったことがおこります。

高次脳機能の各検査や入院中の自由度の低い生活においては、症状が明らかに現れないことも多く、後に気づく場合もあるため遂行機能障害の可能性についても念頭において評価する必要があります。

 

おわりに

ここまで様々な症状について説明してきましたが、実際に患者さんを診るといくつかの要素が混ざり合っていることも多くあると思います。

まずは基本に返り、各症状の概要と特徴を把握することで、患者さんに起こっている症状を理解しましょう。

そして、今後の高次脳機能に対する評価やその先の治療に役立てて頂けたら幸いです。

 

1)山鳥重,高次脳機能障害マエストロシリーズ①基礎知識のエッセンス,医歯薬出版株式会社:12-13
2)鈴木孝治,高次脳機能障害マエストロシリーズ③リハビリテーション評価,医歯薬出版株式会社:48-49,101
3)石合純夫,高次脳機能障害学,医歯薬出版株式会社:25-78,121

呼吸の乱れはカラダとココロの乱れ!?-全部、ピラティスで整えましょう!

ひとの呼吸は1日30000回! 

わたしたちは皆、意識していてもいなくても、吸うことと吐くことを、24時間365日繰り返して生きています。

その呼吸運動の回数は、実に1日30000回にもなります!

呼吸はだれでも簡単にできているように思えますが、呼吸の仕方は人それぞれ特徴があります。

また、体調の変化やストレスの感じ方で、呼吸のリズムや深さは変わります。

緊張しているときなどには、意識的にゆっくりと深呼吸することで、からだや気持ちの緊張を少しほぐすこともできます。

このように、呼吸とカラダ、呼吸とココロは、それぞれに影響し合う、切っても切れない関係なのです。

 

呼吸の調子が悪くなると、姿勢も悪くなってくる

呼吸器疾患や循環器疾患があって体調が思わしくなかったり、どこか痛いところがあるとき、また自律神経失調症やうつ病などの症状の中に、息苦しさや、呼吸困難感といわれるものがあります。

そしてそのような症状のある方々は、かなりの割合で姿勢が乱れている様子が見受けられます。

痛みをガマンしていたり、息苦しくて息が切れたような状態の時って、肩や首がりきんで余分な力が入ってしまっていたり、浅くて速い呼吸しかできなかったりしますよね。

そんな時には肩が凝りがひどかったり、首が突っ張ったりして、なかなか背すじをしっかり伸ばした美しい姿勢で過ごすのは到底無理なことです。

そして少しほっとしたくても、リラックスとはほど遠い、息をするのもつらい状態となってしまいます。

呼吸の状態とその時の姿勢は、深い関わりがあって良い方へも悪い方へも強く影響しあっているのです。

 

呼吸をラクに、姿勢を良くするために…肩甲骨に注目!

呼吸は一種の運動で、無意識のうちに、たくさんの筋肉を使い、胸郭を広げて肺に空気を取り込み、そして筋肉が緩むことで胸郭がしぼむことで吐き出しています。ラクに呼吸ができているときには、おもに肋骨についている筋肉や横隔膜が働いて、胸郭のスムーズな運動が行われます。

これを「安静時呼吸」といいます。

深呼吸するときや、息苦しくて、早くたくさんの空気を取り込み、吐き出したい時には、さらに首まわり、肩まわり、胸や腹部の筋肉も協力して、胸郭と肺を大きく動かすように働きます。

このたくさんの筋肉に助けてもらいながら、大きく呼吸することを「努力性呼吸」といいます。

努力性呼吸では、意識的・無意識的を問わず、深く大きな呼吸が行えます。

しかしそのぶん、安静時呼吸に比べるとたくさんの筋肉を使わなければならず、息をすること自体でエネルギーを消耗してしまったり、首や肩を動かす筋肉に疲労がたまって凝ってしまうという、体にとって負担となる一面もあります。

なんらかの原因で、安静時呼吸では十分な呼吸が行えなくなっているとき、脳をはじめとしたカラダ全体に酸素を供給するため、私たちは無意識のうちに努力性呼吸をしています。このとき、肩や首の筋肉を過剰に使ってしまうので、肩甲骨の配置が、正常範囲を超えて背中の上の方まで上がってきたり、手を動かすようなことを何もしていないのに天使の羽根のように浮き上がってしまったりします。

甲骨の位置がずれてしまうと、息を吸うときに背中の方までしっかり吸い込むことができなくなってしまいます。

また自然な呼吸で起こっている、吸ったら伸びて、吐くときかがむという背骨の動きも制限されます。

というのは、吸ったときに背骨が伸びるためには、肩甲骨が周りの筋肉の活動で、少し下方内側に移動しなければならないのですが、筋肉が働きにくくなり、肩甲骨が良い位置まで動かせないのです。

そうなると、肩甲骨が肩の上にのしかかるおもりのようになってしまい、猫背の悪化や、大きく呼吸ができない状況へ陥ってしまいます。

しかもさらに困るのは、普通に生活していたら、自分の肩甲骨がいったいどこにあってどっちを向いているのか、しっかり背中に貼り付いてくれているのかどうかなんて、自分では分からないし、意識することもないということです。

こんな姿勢が長く続けば続くほど、呼吸は浅く速くなり、肩や首の筋肉もこり固まり、頭痛やめまいなどの身体の症状がでてきたり、いつもイライラしたような精神状態と向き合わなければならなくなってしまうかもしれません。

 

ピラティスのエクササイズで、肩甲骨の位置を整えられる

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ピラティスでは、エクササイズの中で、呼吸そのものへの意識を高め、エクササイズへの集中と、ストレスなどをつかさどる自律神経の活性化を図っていきます。

さらに、腕や肩を動かすエクササイズの中では、スタートポジションから動きの最中、終わりまでずっと、肩甲骨が良い姿勢を保つのに理想的な位置で置いておけるような工夫がされています。

例えばエクササイズのはじめに、さまざまな方向へ腕を動かすウォーミングアップを行うことがあるのですが、その中には肩甲骨の6方向への運動(挙上、下制、内転、外転、上方回旋、下方回旋)を自然と行ない、しかも自分で意識できるようなものが含まれています。

ふだん意識していない場所を動かすのは、はじめはとても難しいですが、ストレッチポールや幅広いゴムでできたバンドなど、さまざまな小道具を活用することで、肩甲骨の動きや位置がわかりやすくなるよう工夫することができます。

そして一度分かると、姿勢が変わったり、違う運動をしている最中でも、肩甲骨が自分の背中でどこにあるのかが感じられるようになってきますし、適切な位置に保つこともできるようになります。

ピラティスは、エクササイズをしている最中だけでなく、ふだんの生活のをする中でも、自分のカラダへの意識を高めたり、良い姿勢がどのようなものかというイメージをわかりやすくしてくれる効果もあります。

 

自分がどんなふうに立っているか、正しく認識できている人は少数派です!

ふだんのご自分の姿勢について、どう捉えられているかは個人差が大きいですし、どのような姿勢がいわゆる良い姿勢なのか、というイメージも人それぞれです。

そして日本人は特に、姿勢や歩き方などについて習うような機会がほとんどありませんし、中には良い姿勢というのは背骨がまっすぐに伸びきった状態であると思っている人もいます。

しかし実は、脊椎というのは、頚椎は前方、胸椎は後方、腰椎は前方へ少し弯曲しているのが本来のかたちなのです。

小さい頃から猫背を直すようしつけられてきた人の中には、必要な脊椎の弯曲までなくしてしまった、フラットバック(平背)という、良くない姿勢をとっている方もおられます。

ただ、日頃から自分の姿勢が良くないと思っている方は、自覚されているぶん、まだ良いかもしれません。

自分では姿勢が良いと思っているひとの方が、自分の姿勢のゆがみやりきみに気付かれていないので、その分だけ、姿勢の影響による痛みや自律神経の乱れ、内臓の不調が出て来たときに、対応が遅れてしまうことがあり得ます。

また最近はワークアウトブームで、健康やストレス発散のために習慣的に運動している人が増えていますが、そのような方の中には、姿勢やバランスが崩れたままで、ご自分の体にどんどん負荷をかけてしまい、関節や筋肉を傷めたり、怪我をしてしまう方もおられます。

リラックスして過ごす時間も、しっかり運動する時間も快適に、効果的に過ごすことができるようにするためには、基本の姿勢がとても大切です。

ピラティスのエクササイズを行うことで、自分の姿勢や動くときのクセにも気づくことができますので、経験したことのない方はぜひ一度、自分の姿勢が改善して呼吸がラクになったり、歩きやすくなったり、バランスが良くなるといった効果を感じてみられることをおすすめします!

肩こりに悩んでいる人必見。肩こりと肩甲骨に関するメカニズムと改善方法を紹介。

肩こりはもはや国民病とも言われているほど。

日々仕事がデスクワーク中心の人や日々家事に勤しんでいる主婦のみなさん、一度は肩こりに悩まされた、または今も悩んでいるという人は多いのではないでしょうか。

一見すると、肩の筋肉の問題だけかと思われがちですが、実は肩甲骨が肩こりに大きく影響しているということはご存知でしょうか?

今回は肩こりと肩甲骨の関係、そして肩甲骨を動かして肩こりを改善する方法を解説していきたいと思います。

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肩甲骨はどんな骨?

肩甲骨はどこの骨?

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なんとなく知っている方は多いと思いますが、肩甲骨は人間の肩の背中側にある二対の骨です。

大きくて不思議な形をしているのは肩甲骨に多くの筋肉が付着しているからです。

筋肉が多く付着しているということは、それだけ重要な骨であり、また肩の運動にとって大切な役目を担っているということが分かります。

 

肩甲骨はどんな動きをする?

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肩甲骨は主に6つの動きに関係してきます。解説していくと・・

内転→肩甲骨同士が近づいていく運動。主に肩を後方へ下げた時の動き。

外転→肩甲骨同士が離れていく運動。主に肩を前方へ出した時の動き。

下制→肩甲骨が下方へ下がる運動。主に肩を下へ下げた時の動き。

挙上→肩甲骨が上方へ上がる運動。主に肩を上へ挙げた(すくめた)時の動き。

下方回旋→肩甲骨が内側へ回転する運動。主にばんざいから肩をおろした時の動き。

上方回旋→肩甲骨が外側へ回転する運動。主に肩をばんざいした時の動き。

 

細かく記載しましたが、特に覚える必要はなく、肩甲骨が肩の運動にこれだけ関与しているんだということを理解していただければ十分だと思います。

 

どうして肩こりが起きてしまう?

肩こりのメカニズム

肩こりができる原因を簡単に説明すると・・

1 長時間同じ姿勢や同じ動きをすることで持続的に肩の筋肉が緊張していく

2 緊張した筋肉が固くなっていき、周囲の血管などを圧迫し血行不良になる

3 血行不良のため十分に酸素や栄養が供給されない

4 筋肉が疲労しやすくなり、より筋肉が硬くなっていく

5 疲労し硬くなった筋肉を動かさなくなり、より肩こりが酷くなる

 

このように肩こりは日々の生活の中で悪循環を繰り返していくことで徐々に悪化していくのです。

人は痛い所はなるべく動かさず安静にしてしまいがちですが、それが肩こり悪化を招いていると言えます。

 

どんな筋肉が肩こりの原因となる?

主に肩こりに関係してくるのは僧帽筋肩甲挙筋と言われる筋肉です。

どちらの筋肉も肩甲骨に付着しているため、肩甲骨を意識的に動かさないと、これらの筋肉も動かないのです。

ここまでの解説で、なんとなく肩こりと肩甲骨の関係が分かってきたでしょうか?

ここからは実際に肩甲骨を動かしていく方法を紹介していきます。

 

肩甲骨を動かして肩こり改善するには

ポイントは「肩甲骨はがし」

肩こり改善にはこの「肩甲骨はがし」が重要になってきます。

「はがし」といっても実際にはがすわけではなく、それだけ肩甲骨をダイナミックに動かすということなのでご安心を。

それでは今からでも行える簡単な3つ「肩甲骨はがし」の方法を以下に紹介します。

 

1

両手を体の後ろで組みます

そのまま背筋を伸ばすように胸をしっかりと張ります

その状態で体を左右に2~3回ひねります

※これを1セットとして、休息しながら3セットほど行いましょう。

 

2

背筋を伸ばしてまっすぐ立ちます

肘を肩の高さまで挙げて、小さくバンザイをするように手を挙げます

そのまま背中にしわをつくるように両手を後ろに引いていきます

※これを1セットとして、休息しながら3セットほど行いましょう。

 

3

両手の手のひらと肘がくっつくように体の前で合わせます

ゆっくりと上下に5往復します

次に大きく円を描くように右回り、左回りとそれぞれ5回行います

※これを1セットとして、休息しながら3セットほど行いましょう。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

肩こりと肩甲骨は大きく関係していることが理解していただければ幸いです。

肩甲骨はがしの方法は他にも多数やり方があるため、気になった方はぜひ自分にあったやり方を探してみてください。

日々の肩こりの悩みが少しでも解決できるよう、毎日コツコツと実践していきましょう!

最近息切れや呼吸にやや不安を感じ始めた方は必見。自宅でできる簡単呼吸体操を紹介。

みなさんの中には最近息が切れやすくなった・・長年の喫煙歴があり呼吸が心配・・という方がいらっしゃるのではないでしょうか。

息が切れるのは体力の低下だけが原因ではなく、呼吸方法や体の柔軟性が関係しているのです。

今回は呼吸機能低下の予防にもなる、自宅でできる簡単な呼吸体操を紹介していきます。

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呼吸機能が落ちる原因

病気により肺機能が落ちてしまうケース

肺の機能が落ちてしまう病気はいくつかあります。

その代表的なものを紹介していきます。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

もともとは慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。

最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症します。

タバコの煙を吸入することによって肺の中の気管支に炎症がおきて、せきやたんが出たり、気管支が細くなることによって空気の流れが低下してしまいます。

また、気管支が枝分かれした奥にあるぶどうの房状の小さな袋である肺胞(はいほう)が破壊されて、肺気腫という状態になると、酸素の取り込みや二酸化炭素を排出する機能が低下します。

 

肺炎

中でも「特発性間質性肺炎」は大きく肺機能低下に関係します。

間質性肺炎は、肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなるため酸素を取り込みにくくなる病気です。

間質性肺炎の原因は様々ですが、原因不明のものを特発性間質性肺炎と総称します。

症状としては、初期には無症状のことが多く、病状がある程度進行してくると動いた時の息切れや痰を伴わないせきを自覚するのが特徴です。

 

胸郭周囲の柔軟性が落ちてしまうケース

胸郭とは自分の胸の部分、肋骨がある箇所を想像していただければ大丈夫です。

胸郭と呼吸は大きく関係しており、呼吸を行う際には胸郭が連動して動いています。

呼吸を行う際に胸に手を当てていただければ一緒に動いているのが良く分かると思います。

この胸郭が硬くなっている人は肺に空気を溜めにくく、呼吸しづらくなっているのです。

胸郭が硬くなる原因は様々ですが、上記に挙げた病気の他、加齢や胸郭を動かさないことでも自然と硬くなっていきます。

 

 呼吸機能低下による悪影響

呼吸機能の低下や息切れはそのまま放置していくと以下のような悪循環に陥ってしまいます。

肺機能の低下

息切れが強くなってくる

あまり運動を行わなくなっていく

筋力低下など身体機能が低下していく

息切れの増加

 

しかし、逆に意識的に呼吸機能の改善を行うことで以下のような好循環へと移行することも可能です。

呼吸体操を行い呼吸が楽になる

日々の体操や散歩が比較的楽に行える

息切れ症状の改善

筋力向上など身体機能がアップする

さらなる息切れ症状の改善

 

このように好循環へと移行できるよう次の項目から自宅でできる簡単な呼吸方法を紹介していきます。

 

呼吸体操方法の紹介

肩の上げ下げ

1 両足を肩幅くらいに広げ、まずは背筋をピンとしてリラックスします。

2 鼻から息をゆっくりと吸い、両方の肩を呼吸と一緒にゆっくりあげていきます。

3 さらに息を吸いながら肩を回すように後ろの方へ下げていきます。

4 息を吸いきったらゆっくりと息を吐いていきます。そのとき肩の力を抜きながら最初の姿勢へと戻していきます。

 

背伸び体操

1 両手を頭の後ろで組み、ゆっくりと息を吸います。

2 ゆっくりと息を吐きながら組んだ腕を上に伸ばし、背伸びをしていきます。

3 首を前に倒して腕を後ろに引きながら息を吐き切ります。

 

側部のストレッチ

1 片方の手を頭の後ろへ、もう片方の手を腰に当て、息をゆっくり吸います。

2 吸いきったら、ゆっくりと息を吐きながら手を腰に当てた方へ体を倒していきます。

3 息を吐ききったら最初の姿勢へと戻ります。これを同様に反対側でも行います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

普段あまり行うことのない胸郭の運動ですが、これを続けて行うことで柔軟性がアップしていき、呼吸機能の向上にも繋がっていきます。

当たり前に行っている呼吸ですが、意識することで身体機能や呼吸機能の低下予防にもなります。

道具も必要なく、簡単に自宅で行えるのでぜひ実践してみてください。

アンチエイジングに大切な成長ホルモンとその分泌を促す3つの要素とは!?

ここ数年、アンチエイジングという言葉を耳にする機会が増えていますよね。

メディアでも「美魔女」といわれる美意識の高い、年齢に不釣り合いなほどの美しい容姿を保った女性たちが登場しています。

そしてその女性たちの生活習慣や食事、サプリメントや美容テクニック、さらには遺伝子検査での分析など、様々な面から取りざたされています。

このような情報に興味を持つ女性が、日本にもたくさんおられるのは、SNSや雑誌の特集などを見ても明らかです。

ひとの外見というのは、もって生まれたものによるところが大きいですが、生活習慣や努力で変えられる部分もたくさんあります。

化粧品やサプリメント、エステなどでも、美容や若返りの効果をうたったものが数えきれないほどありますし、それぞれに需要があるというのを見ると、世の女性たちの、若く美しくいたいというほんとうに強い熱意を感じます。

ただ、努力をしたりお金をかけたりする時間と金銭面での余裕があれば良いのですが、なにかと忙しい現代人の生活の中で、自分自身をかえりみてカラダとメンタル面のケアをする余裕がなかなかないのもまた、事実ですよね。

そんなふうにがんばっておられる方こそ、本当はご自身のケアをしっかりしてあげることが大切です。

 

美容と健康に効果のある生活スタイルを送るには、高価な美容液を買ってきたり、毎日時間をかけてお肌のお手入れをしたり、エステに通ったりしなくても、あなたの普段の生活の中でできる工夫や心がけはたくさんあります。

この記事では、手間もお金もかからない、しかも体に負担となるような薬剤や添加物も使わない、今日からできるアンチエイジング情報をお伝えしたいと思います。

これは即効性のある魔法のようなテクニックではありませんが、自分の身体をカラダの内側から、いきいきとした状態に保ってくれるという意味では、どんな高価な薬やサプリメントよりも安全、安心で、アレルギーも起こさず、効果を発揮してくれるように期待できるものです。

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カラダの内側から若返って、外見も若々しくなりましょう!

ひとが自分のからだの中から若さを保ち、できることなら今よりも若々しくいたいと思うとき、カギとなるのは脳下垂体から分泌される成長ホルモンの存在です。

「成長ホルモン」という言葉は、だれしも耳にされたことがあると思います。

成長期の子どもの身長が伸びたり、骨や筋肉、内臓の機能が発達したり、新陳代謝をアップさせる役割を持つホルモンのことです。

しかしながら、じつはこの成長ホルモン、大人になってもしっかり分泌されているのです。

近年、特に美容整形の分野では、この成長ホルモンがアンチエイジングの治療に有効であるということが分かってきていて、盛んに研究がすすめられています。

成長ホルモンは、成長期の15歳から20歳くらいの間に分泌のピークを迎えます。

そして年齢を重ねるにつれて、分泌量は減少していきます。

それでも、成長ホルモンが体内からまったくなくなることはありませんし、状態によっては、同年代の他の人たちと比べて多くの成長ホルモンが分泌されることもあります。

美容の世界では、この成長ホルモンを人為的に体内へ補充することによって、成長期を過ぎた大人でも成長ホルモンの作用を増幅させて、いわゆるアンチエイジングの効果を出している手法も出てきています。

たとえば注射や経口というかたちで、体内に成長ホルモンを取り込むと、新陳代謝の低下や筋肉量の減少を防いでくれたり、筋肉や骨の萎縮の予防になったり、体脂肪の増加を抑えたり、といった変化が体の中で起こってきます。

この変化が、たるんだ身体をぐっと引き締め、適度に筋肉質なカラダへと生まれ変わり、結果として肌に張りが出てきたり、きめが細かくなったりすることもあります。

こうした効果から、成長ホルモンは「若返りホルモン」と言われるようになったのです。

 

成長ホルモンは、人体の成長や代謝などをつかさどるホルモンで、老化現象と深い関わりがあります。

その分泌量は、20歳の時と比較して40歳の時点では約40%、80歳になると5%にまで減少していきます。

成長ホルモンの分泌量が減少すると、骨や筋肉への影響だけでなく、心臓の機能が低下して全身の血流が悪くなったり、その影響で新陳代謝も悪くなるといった悪影響が出てきます。

こうした全身の循環状態の悪化は、まわりまわってお肌の状態に大きなダメージを与え、見た目も老けこんだように見えてしまいます。

もちろん美容クリニックで治療を受けて、体の外から成長ホルモンを補充することで、こうしたエイジングの影響は軽減できるかもしれません。

しかし、成長ホルモンは本来、自分のからだの中で分泌され、からだ全体に行きわたっていくものです。

しかも、大人になってから成長ホルモンの分泌量を増やせる、いくつかのポイントが分かってきています。

お金をかけず、安全な方法で、カラダの中身も外見も若々しくなれる方法があれば、こんな良い話はないと思いませんか?

 

成長ホルモンを出す!増やす!

年齢を重ねるとともに、成長ホルモンの分泌量は減少してしまいますが、少し工夫するだけで、分泌量が増えるように促すこともできます。

分泌量を増やすためにとても重要なのは3つ、「睡眠・空腹・運動」です。こんなありがちなことで良いのかと思われるかもしれませんが、健康だけでなくアンチエイジングにもとても効果的なのです。

 

1つめは「睡眠」です。

寝る子は育つ、と言われますが、成長期には良質な睡眠をしっかりとることがとても重要です。

成長ホルモンは24時間分泌されてはいますが、主に分泌されるのは睡眠中です。

その中でも特にたくさん分泌されるのは、眠りについてから30分後~1時間後、ノンレム睡眠の最中に、いちばん多く分泌されます。

成長ホルモンが分泌されると、寝ている間に肌の新陳代謝が活発になったり、血液循環がよくなってお肌の老廃物を取り除いたりしてくれます。

そのため、お肌のコンディションを整えて維持するためには、しっかり睡眠をとることがとても重要で、特に寝始めてからの3時間程度は深く眠れるように条件を整えることがとても大切なのです。

睡眠不足になると、成長ホルモンを分泌するチャンスを失い、シミやしわ、肌荒れなどの原因にもなります。

また寝る前の習慣によって、ぐっすり眠れるか、眠りが浅くなってしまうかが左右されます。

寝る直前までテレビを見たり、パソコンやスマートフォンを触っている方もおられるかもしれません。

できることなら、寝る一時間前には、刺激の強い電子機器の使用は控えることにして、ぐっすり眠りましょう!

 

2つめは「空腹」です。

朝起きて、1日が始まるとき、お腹は空っぽになっています。

この状態になると、蓄積された体脂肪をエネルギー源として燃やす回路が活発に働き出し、同時に肌の調子を良くしようという働きも高まります。

小腹がすいたらすぐに間食したくなるのをぐっと我慢して、できたら食事の前には毎回、しっかりとお腹が空いた状態にしてあげることが大切です。

もちろん規則正しい生活習慣には、お食事の時間も含まれますし、毎日決まった時間に三度の食事をとることも大切ですが、成長ホルモンを分泌させるためには、空腹になったら食べるようにした方が効果的なんです。

 

3つ目は「運動」です。

成長ホルモンの分泌をふやすのに、特に効果的なのは、ゆっくりで良いので繰り返して行える筋力トレーニングです。

難しい動きや高い強度の運動をする必要はありません。たとえば、立ったままで膝の曲げ伸ばしをするスクワットなら、ゆっくり10回ほど行なって、太ももが少しだるくなってくるくらいで十分です。

筋トレを行った後にはなんと、成長ホルモンの分泌量が100倍以上にまで増えるというデータもあります!

 

時間もお金もかからないちょっとした工夫や努力で、成長ホルモンの分泌量を増やす生活スタイルが可能になります。

そしてお気づきかもしれませんが、いわゆる健康的な生活ともほぼ同じことです。

アンチエイジングと健康と一挙両得、ぜひトライしてみてくださいね。

お金持ちは知っている!覚えておきたい「複利」の力!

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”アルベルト・アインシュタイン
「複利は人類最大の数学的発見」”

 

単利と複利

銀行などに預金をすると利息が付いてきますが、その利息の付き方として「単利」と「複利」というものが存在します。

資産運用などの勉強をしている方にとっては、初歩中の初歩ではあると思いますが改めて「単利」と「複利」について勉強していきましょう。

 

単利とは?

単利は預け入れた元本が一定で、その元本にのみ利息が付きます。

 

例えば「100万円」を1年間「10%」の利回りで運用できる金融商品があったとしましょう。

それを「10年間」の間「単利」で運用したとします。

 

1年目:100万円×10%=10万円

2年目:100万円×10%=10万円

3年目:100万円×10%=10万円

                         ・

                         ・

                         ・

10年目:100万円×10%=10万円

1年目も2年目も3年目も10年目も元本が一定なため利息によって入ってくるお金もずっと10万円と一定です。

逆に「複利」で運用するとどうなるか見ていきましょう。

 

複利とは?

複利は預け入れた元本に利息が付いたものが次の元本となります。

つまり「元本+利息」が次の元本になり、その「元本+利息」に対して利息が付くという訳です。

例えば「100万円」を1年間「10%」の利回りで運用できる金融商品があったとしましょう。

それを「10年間」の間「複利」で運用したとします。

1年目:100万円×10%=10万円

2年目:110万円×10%=11万円

3年目:121万円×10%=12万1000円

                         ・

                         ・

                         ・

10年目:235万7946円×10%=23万5794円

どうですか!?

10年後には利息が付いた金額が単利に比べ倍以上になっています。

 

72の法則

これで「複利」のことについてはなんとなく理解できたかと思います。

そこで更に「72の法則」というものを紹介します。

皆さん複利運用において元本が どれくらいで2倍になるかを簡単に計算できたら便利だと思いませんか?

 

”「72の法則」とは…

元本が2倍になる「年利」と「年数」が簡単に求められる法則です。”

 

計算式:72=利息×年数

 

例えば「100万円」を年利1%で複利運用したとしましょう。

この場合元本である「100万円」が2倍になる年数は72年になります。

計算はこうなります

72=1×年数

年数=72÷1

年数=72

 

簡単ですね!

 

今度は「100万」を年利4%で複利運用したとしましょう。

この場合元本である「100万円」が2倍になる年数は18年になります。

計算式はこうなります

72=4×年数

年数=72÷4

年数=18

 

0歳から運用したら高校を卒業する頃には働かずして2倍になってるってことですね。

まさにこれが「お金に働いてもらう」ということですね。

 

当たり前ですが「複利」の力を借りてお金を増やそうとするなら早ければ早い程有利です。

つまり50歳とか60歳になって「よし!お金を増やすぞ」と複利の力を借りようとしても遅いわけです。

 

最後に

ここまで「複利」について勉強をしてきましたが、こういったことはアメリカの高校生の教科書には初歩中の初歩として書かれています。

日本人はお金の勉強を敬遠しがちなため、お金の基本的な事実さえも知らずに生活しています。

例えばあなたは金利が上がっていくとき、資金の運用、借り入れはそれぞれ「固定金利」ですべきか、「変動金利」ですべきか知っていますか?

こういったことを周りの人で理解している人はほぼいません。

お金の知識がなければ損すべきでないことも損してしまいます。

これからはますます自分のお金は自分で守っていく力が必須となってくるかと思います。

 

空腹の効果!空腹とホルモンの関係とは!?

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1日何回くらい、空腹感を感じますか? 

規則正しく1日3食、バランスのとれた食事をとることが、健康的な生活習慣ということは、いまや常識ですよね。

ところが、お腹が空いた状態の方が、美容と健康に効果的な面もあるのです。

今回は、最近耳にすることが増えている若返りホルモン(=成長ホルモン)との関連から、空腹な時間がなぜ、からだに必要なのかをご紹介します。

 

お腹が空いているときに、カラダの中で起こっていること

お腹が空くと、食欲増進作用のあるグレリンというホルモンが分泌されます。

このグレリンは、成長ホルモンの分泌も促進します。

成長ホルモンは新陳代謝に必要なホルモンで、大人になってからも重要な役割を果たしてくれています。

新陳代謝が活発になると疲れが取れやすくなったり、免疫力が上がって病気の治りが良くなったり、全身の血流が良くなって肌がキレイになるという効果も期待できます。

 

食事のベストタイミングって?

ということで、新陳代謝のことを考えるなら、必ず決まった時間に食べるよりも、お腹が空いたら食べる、という方がおすすめです。

また口さみしい時などに、お腹も空いていないのに間食するのはやめて、1日2~3回、お腹が空いた状態を脳が認識できる状況を作ることがとても大切です。
また、食事の際にはよく噛むことが大切です。

子どもの頃から、ひとくち30回は噛みなさい、と言われていましたよね。

咀嚼の回数が増えると、脳が活性化したり、唾液の分泌量が増えて、全身の皮膚や血管の細胞が活性化する効果もあります。

 

食事が美容と健康の敵になってしまうことも⁉

反対に、成長ホルモンの分泌量を減らしてしまう食習慣もあります。

寝る前に糖質を摂ることです。

ここでいう糖質は甘いものというだけでなく、ビールや日本酒などのアルコールや、ご飯、パン、麺類などの主食も含みます。

糖質を食べると消化吸収され、血糖値が上がるのですが、血糖値の過剰な上昇を防ぐために、インスリンというホルモンが分泌されます。

このインスリンはとても重要で、食後に分泌されなければ困るのですが、インスリンが血液中にある間は、成長ホルモンが分泌されなくなる作用があるのです。

寝ている間は成長ホルモンが分泌されて、美肌や免疫力アップのための貴重なチャンスなのに、みすみすそれを手離すなんてもったいないですよね。

夜にお酒を飲み、シメにラーメンやお茶漬けを食べてからすぐ寝てしまう習慣は、その瞬間はとても幸せを感じられるものですが、本当は避けた方が良いのです。

少なくとも、寝る2時間前には糖質を含む食べ物、飲み物は摂り終えておくのがおすすめです。

脊髄損傷のリハビリテーション

はじめに

脊髄は、脳からの運動指令を四肢に伝達を行ったり、触れた物の感覚を脳へと伝える重要な通り道です。

この通り道に損傷を起こすと、運動障害・感覚障害を引き起こし、日常生活に多大な影響を及ぼします。

今回は脊髄損傷に対するリハビリテーションについてお話していきます。

 

概要

脊髄の解剖

脊髄は、脳から繋がる中枢神経であり、延髄の尾側から始まり第1腰椎から第2腰椎で脊髄円錐となり終わります。

分岐する神経根に対する脊髄の部位を髄節と呼び、頸髄が8髄節・胸髄が12髄節・腰髄が5髄節・仙髄が5髄節・尾髄が1髄節の合計31髄節からなります。

 

脊髄神経と脊椎の位置関係

脊髄神経は、脊椎にある脊椎孔を通り、連なって1本の管のようになっているため、脊柱管と呼ばれます。

脊髄神経の構造は、前側から出る前根と後側から出る後根の2本が合わさり、脊髄神経となって脊柱管から左右に1本ずつ出ます。

 

脊髄損傷とは

脊髄とは、脳と身体をつなぐ中枢神経の事で、この部位の損傷を脊髄損傷といいます。

主として大きな外傷を受け、脊椎が骨折・脱臼を起こした際に生じます。

また、骨折や脱臼が無くとも、脊柱管が狭いところに外傷が加わることで、脊髄損傷が生じる場合もあります。

 

・症状

完全麻痺と不全麻痺があり、損傷された部位から遠位の運動・知覚の障害を引き起こします。

完全麻痺は、損傷した部位から遠位の運動・知覚が全て失われます。

 

・診断

麻痺が存在し、MRIやX線で、脊椎・脊髄の損傷部位が明らかになれば診断がつきます。

 

脊髄損傷に対するリハビリテーション

脊髄損傷では、重度の運動麻痺・感覚障害を呈し、一度損傷したら元に戻らないとされています。

リハビリテーションでは、残存した機能を活かし、できる事を増やしていき、日常生活への復帰を目指します。

また、不全麻痺では、運動・感覚の回復の見込みがあり、予後以上の生活を送れる可能性があります。

脊髄損傷を受傷する者は、若い方も少なくなく、以前との生活との乖離に向き合い、対応していかなければなりません。

 

診断の重要性

脊髄損傷は、運動麻痺・感覚障害だけでなく、自律神経のコントロールも失うため、自律神経症状も呈します。

臨床的に重要視されるのは、運動麻痺と感覚障害であり、その正確な診断は、医学的リハに必要不可欠です。

リハにおける頸髄・脊髄損傷における障害髄節の指標は、健全に機能の残存する最下限髄節を表現するのが一般的です。

残存する髄節によって、機能予後を推定する事ができ、それに応じてリハビリを進めていきます。

 

・頸・脊髄損傷の残存高位と可能な日常生活動作

C2-C3

主な筋肉:胸鎖乳突筋

運動機能:頭部の前屈回転

日常生活:全介助

自助具など:人工呼吸器管理、電動車いす(下顎などでの操作)

C4

主な筋肉:横隔膜・僧帽筋

運動機能:頭頸部の運動・肩甲骨の挙上

日常生活:全介助 

自助具など:電動車いす・環境制御装置・リフター

C5

主な筋肉:三角筋・上腕二頭筋 

運動機能:肩関節運動・肘関節屈伸、回外

日常生活:BFO・装具と自助具による食事動作、整容の一部(歯磨き・髪をとく)、その他は介助

自助具など:平地は車いす、その他は電動車いす

C6

主な筋肉:大胸筋・橈側手根伸筋 

運動機能:肩関節内転・手関節背屈

日常生活:移乗動作(前後)可能、車いす駆動、ベッド上での寝返り、上半身の更衣

自助具など:テノデーシススプリント

C7

主な筋肉:上腕三頭筋・橈側手根屈筋 

運動機能:肘関節伸展・手関節掌屈

日常生活:床上・移乗自立、更衣動作自立、自動車運転可能

C8-T1

主な筋肉:手内在筋 

運動機能:指の屈曲 

日常生活:車いす上ADL自立

T6

主な筋肉:上部肋間筋・上部背筋 

運動機能:体幹の前後屈 

日常生活:実用的車いす移動

自助具など:骨盤帯付き長下肢装具と松葉杖で歩行可能

T12

主な筋肉:腹筋 

運動機能:骨盤の引き上げ 

日常生活:実用的車いす移動

自助具など:長下肢装具と松葉杖で歩行可能

L4
主な筋肉:大腿四頭筋 

運動機能:膝関節伸展

日常生活:歩行可能

自助具など:短下肢装具・杖

 

病型分類とリハビリテーション

脊髄損傷の病型分類は、横断型・中心性脊髄型・ブラウンセカール型・前脊髄動脈症候群型など様々です。

受傷後の麻痺は流動的で、特に不全麻痺では時間ごとに症状が変化します。

したがって、神経学的所見は経過を追いながら、頻回に観察する必要があります。

また、病型によって特徴があり、それに対してのリハビリテーションの進め方も異なってきます。

①高齢者の不全麻痺のほとんどは中心型であり、運動麻痺と温痛覚障害の左右差が混在しています。

この場合は、徹底した残存筋の筋力強化を行えば、境界域麻痺筋筋力の劇的な改善を図れる可能性があります。

②頸髄不全麻痺で痺れを強く訴える場合、両下肢装具装着での歩行訓練や器具を活用した上肢残存筋筋力強化を徹底すれば、かなりの麻痺改善が望めます。

③50代以前の腰椎損傷による対麻痺の場合、脊髄損傷・円錐部損傷・馬尾損傷のいずれかを見極める必要があります。

→脊髄損傷であれば、肛門周囲の感覚が予後予測のポイント。

また、大腿四頭筋の随意運動が可能なら、短下肢装具使用での実用的歩行をゴールにできます。

→円錐損傷の場合、まだらな筋力残存があり、筋力強化にはきめ細かさが必要です。

→馬尾損傷の場合、予後予測は難しいですが、完全麻痺であっても、年単位で改善する望みがあります。

④膀胱直腸障害が、生命予後とADL障害を決める大きな因子であるため、早期に膀胱造影による評価が必要です。

 

障害像と対策

・運動障害

脊髄に外傷やその他の原因により横断性損傷を受けると、損傷髄節以下の全反射が消失します。

この時期(脊髄ショック期)の運動麻痺は恒久的には続くわけではありません。

一般的に、6週は神経学的に回復が望まれ、不全損傷の場合はそれ以上の期間で回復をみることもあります。

高齢者の頸髄損傷は下肢よりも上肢に重い中心型麻痺がほとんどであり、運動麻痺の改善も下肢ではかなり望みがあります。

しかし、痙性が強くなる事が多く、ADLの阻害因子となってしまうこともしばしばあります。

だが、その残存機能を鍛え上げなければせっかくの麻痺改善も臨床的な意味をなくしてしまうため、痙性に対する対策を行いつつ、残像機能を徹底して鍛えましょう。

・感覚障害

外傷による完全麻痺では、急性期において損傷髄節以下の表在・深部感覚が脱失します。

急性期を過ぎると、浮腫の改善等により、感覚障害が改善する事もありますが、かえってしびれ感や痛みを引き起こし、リハビリ遂行の障害となる場合があります。

この場合は、ステロイドや神経障害性疼痛治療薬などの薬物療法を検討していきましょう。

 

・自律神経障害

脊髄損傷における自律神経障害の症状は多様で、1つ1つ解説するのは難しいです。

脊髄損傷における自律神経障害の特徴を理解し、医学書等に記載されている基本を踏まえた上で、対応していきましょう。

特徴的な症状としては、排尿障害・消化器症状・褥瘡・体温調節障害・低血圧・自律神経過反射・起立性低血圧・腎機能、体液調節障害・性機能障害などがあります。

・呼吸障害

C1-4の損傷では、呼吸障害を呈する事が多いです。

C1-2障害では、横隔神経麻痺による横隔膜の機能不全により、自発呼吸ができず人工呼吸器または横隔神経ペーシングなど、呼吸補助装置を避ける事ができません。

C4損傷では、横隔膜呼吸は可能ですが、肋間筋は麻痺を呈しているため、肺活量・最大換気量は低下し、拘束性換気障害の状態となってしまいます。

そのため、早期より安静臥床を避け、肺炎予防に努めなければなりません。

それに加え、排痰訓練や体位変換、呼吸補助筋の強化や呼吸関連筋の拘縮予防も、しっかり行っていく必要があります。

 

さいごに

脊髄損傷に対するリハビリテーションの研究は多くあり、ある程度予後予測が可能となっています。

症例によっては、予後以上の改善をみせるため、残存機能を活かしたリハビリテーションを行い、患者様の人生を狭めるようなリハビリテーションを行わないよう、日々の勉学・臨床に励んでいきましょう。

 

参考文献

標準理学療法学 解剖学

日本整形外科学会 脊髄損傷

脊髄損傷に対するリハビリテーション

椎間関節性腰痛の発生メカニズムと治療

はじめに

『腰痛』を持った患者さんに出会ったことがない理学療法士はいないと思います。
厚生労働省のデータによると腰痛は日本人の自覚症状としてNo1の症状であり、生活スタイルの変化などで今後も腰痛に悩む人は増加することが予測されます。

その一方治療となると、80%以上は原因のはっきりしないいわゆる『非特異性腰痛』であることが分かってきており、残り20%の特異性腰痛との鑑別や、心因性の可能性も考慮しなければいけないなど治療にあたって理学療法士を困らせます。

今回はそんな腰痛の原因の一つと言われる『椎間関節性腰痛』についてその基本的な部分をご紹介していきます。疾患の特徴や症状を理解することによって腰痛の評価に活かしていきましょう。

 

椎間関節の解剖学や神経支配

①関節の形状

各椎骨の上関節突起と下関節突起で構成される滑膜関節で、関節面は硝子軟骨よりなり滑膜と関節包に包まれています。

また部位によっては脂肪組織が関節包を突き抜けて存在します。

 

②神経支配

椎間関節は脊髄神経後枝の内側枝により支配されています。

後枝は横突起の背側に出た後で内側枝と外側枝に分かれます。

それぞれ外側枝は幼鳥六筋へ、内側枝は隣接する椎間関節包の下部、多裂筋、そして椎間関節包の上部へと向かいます。

つまり、後枝の内側枝は同一レベル、及び一つ下のレベルの椎間関節を支配しているということになります。

 

また椎間関節と周辺組織には感覚受容器が豊富にあることが分かっており、特に侵害受容器の割合も多いことから神経学的にも痛みを感じやすい、発生源になりやすい関節であることが分かります。

 

椎間関節の機能、バイオメカニクス

腰椎は椎体、椎間板、椎間関節と靭帯で構成されていますが、椎体と椎間板が荷重を支える機能として特化しているのに対し、椎間関節は靭帯とともに腰椎の過度な動きを制限するためのストッパーとしての役割を果たしています。

またもう一つ重要なことは椎間関節が荷重関節であるということです。研究によると椎間関節は脊柱事態にかかる荷重の16%程度を受ける役割を担っています。

残りの84%は椎体及び椎間が受けているといわれています。

軸方向の負荷がかかった時、下関節突起を通して椎弓へと伝わり、この際に関節包下部は下関節突起と追及の間にインピンジされることが確認されています。

 

腰椎伸展時には下関節突起下端部が下位椎弓に接触し、関節包の上方部に張力が加わります。一方腰椎屈曲時は、伸展時のような関節包の高い緊張はおこらないとされています。

 

回旋に関しては、関節面のほとんどが全体に接触しているため、抵抗力は大きくほとんど動きません。

 

椎間関節性腰痛の発生メカニズム

①急性疼痛

神経の部分でもご説明したように椎間関節とその周辺組織は侵害受容器や神経線維は豊富に存在しています。

そこに不自然な姿勢などが原因で機械的なストレスが加わると、侵害受容器が興奮し痛みがでると考えられます。

特に腰椎過伸展時は下関節突起と椎弓の間で強いストレスが加わる為、痛みを発生しやすいと考えられています。

 

このような機械的ストレスは軟部組織の付着部周囲に牽引ストレスをかけ、その組織が炎症すれば痛みが引き起こされますので、どれが慢性の腰痛につながると考えられます。

 

②慢性疼痛

椎間関節の炎症により痛みが持続的に発生している状態です。

実際に椎間関節へ炎症性の物質を投与した実験では感覚受容器の感受性の亢進や受容器の痛みの閾値を下げることによって痛みに過剰に反応しやすくなる可能性が実験で示されています。

 

椎間関節性腰痛の診断

椎間関節性腰痛の難しいところは『はっきりと診断しづらい』というところにあります。

椎間関節性の腰痛では特異的な画像診断はないことも理由の一つです。

 

①臨床症状

腰痛の中でも椎間関節腰痛の評価で重要な臨床所見として

①神経症状を伴わない腰痛

②腰部の伸展による疼痛の憎悪の為に後屈制限がある

③椎間関節部の圧痛

④疼痛による筋力(出力)低下は合っても脱力による筋力低下は見られない

⑤基本的に片側性の痛みの訴えがある。

などが挙げられます。

 

ただし、統計学的に優位な臨床所見についての報告はあまりないのが現状で、いまだ不明の部分が多いといえますね。

 

②椎間関節・腰神経後枝内側枝ブロック

この後に出てくる治療としても用いられる手段ですが、直接疑われる椎間関節ブロックや腰神経後枝内側枝ブロックを行うことは診断上でも非常に重要です。

 

椎間関節性腰痛の治療

①保存療法

安静、薬物療法、生活指導や運動療法など様々で、ほとんどの椎間関節性の腰痛は保存療法が選択されます。

この中には理学療法士によるリハビリテーションも含まれますし、運動指導では重い荷物の持ち方や、腰椎の過伸展に代表される不良姿勢での日常生活を指導することも重要です。

 

②ブロック

保存療法が一般的な腰痛治療とあまり手段として変わりないのに対して、ブロック治療は診断の部分でも述べたように、本当に腰痛の原因が椎間関節にあるのかを確認する為にも有用とされています。

方法としては椎間関節に対してリドカインを注入して行うものと、M-A溝と呼ばれる乳様突起と副突起の間の溝をターゲットに行う腰神経後枝内側枝ブロックというものがあります。

 

③手術

以前は椎間関節固定術という術式が選択される場合があったようです。

ただし最近においては椎間関節性腰痛が疑われる場合、外科的な手術をする症例はまれでほとんど行われていないようです。

 

慢性の腰痛に対してブロック治療の結果、椎間関節、腰神経後枝内側枝ブロックが一時的に有効であれば、経皮的電気焼灼術が検討される場合があります。

 

経皮的電気焼灼術とは腰神経後枝内側枝ブロックとおなじM-A溝に対し傍脊柱起立筋をモニタリングしながら電気刺激を加えて焼灼する方法です。

 

椎間関節性腰痛のリハビリテーション

① 不良姿勢の改善

前述のように、腰椎椎間関節の痛みは関節にかかる機械的ストレスや周辺組織のインピンジメント原因で起こります。

多くの場合は腰椎過伸展の際に痛みを発生させることが多く、方向性としてはきれいに体幹の伸展が出せる機能づくりを行っていく必要が有ります。

後屈動作においては股関節、骨盤、腰椎の3つの機能が正常に働いていることが重要で、たとえば股関節の伸展がうまくいかない場合は、腰椎が可動域を確保する為に過伸展することが考えられます。

 

このような姿勢を評価し、腹筋など細かい部分のアプローチをすすめていきましょう。

 

このように日常生活上での痛みを緩和する為に腰椎だけではなく全身を見る視点を持って改善を図っていくことが非常に重要です。

 

② 椎間関節のモビライゼーション

椎間関節を対象とした手技でモビライゼーションがあります。

側臥位にて上位と下位の棘突起を操作し椎間関節のモビライゼーションを行うことで多裂筋の収縮を促します。

多裂筋は椎間関節の周辺に付着する組織でしっかりと収縮していれば椎間関節へのインピンジメントを防ぐ役割があります。

 

③ 動作、生活指導

普段の痛みについてしっかりと聴取し、運動や動作、生活指導を行う必要があります。
そもそも不良姿勢により椎間関節に過度のストレスがかかったことが原因なので、普段の仕事や家事の場面で不良姿勢に陥っている場面があることが多いです。

具体的には重いものの持ち方(腰痛を過伸展しない)などその人に合わせた動きを指導してあげましょう。

 

さいごに

いかがだったでしょうか。まだまだ真相が分かっていない椎間関節性腰痛ですが、重要なのは冒頭でもご説明したように症状や所見を加味したうえで評価をしていくことです。

重篤な腰痛(レッドフラッグ)を見逃さない為に、患者様への治療成果を少しでも上げていけるように学習を進めていきましょう。


【参考文献】
1. 山下敏彦、椎間関節性腰痛の基礎、日本腰痛会誌、13(1):24-30、2017

2. 寒竹司、田口敏彦、椎間関節の痛み、Mb Orthop、26(12):21-24、2013

3. 田口敏彦、椎間関節由来の腰痛、脊椎脊髄、25(4):311-314、2012

4. 山下敏彦、椎間関節性腰痛の基礎、脊椎脊髄、13(6):432-438、2000