リハラボ

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呼吸の乱れはカラダとココロの乱れ!?-全部、ピラティスで整えましょう!

ひとの呼吸は1日30000回! 

わたしたちは皆、意識していてもいなくても、吸うことと吐くことを、24時間365日繰り返して生きています。

その呼吸運動の回数は、実に1日30000回にもなります!

呼吸はだれでも簡単にできているように思えますが、呼吸の仕方は人それぞれ特徴があります。

また、体調の変化やストレスの感じ方で、呼吸のリズムや深さは変わります。

緊張しているときなどには、意識的にゆっくりと深呼吸することで、からだや気持ちの緊張を少しほぐすこともできます。

このように、呼吸とカラダ、呼吸とココロは、それぞれに影響し合う、切っても切れない関係なのです。

 

呼吸の調子が悪くなると、姿勢も悪くなってくる

呼吸器疾患や循環器疾患があって体調が思わしくなかったり、どこか痛いところがあるとき、また自律神経失調症やうつ病などの症状の中に、息苦しさや、呼吸困難感といわれるものがあります。

そしてそのような症状のある方々は、かなりの割合で姿勢が乱れている様子が見受けられます。

痛みをガマンしていたり、息苦しくて息が切れたような状態の時って、肩や首がりきんで余分な力が入ってしまっていたり、浅くて速い呼吸しかできなかったりしますよね。

そんな時には肩が凝りがひどかったり、首が突っ張ったりして、なかなか背すじをしっかり伸ばした美しい姿勢で過ごすのは到底無理なことです。

そして少しほっとしたくても、リラックスとはほど遠い、息をするのもつらい状態となってしまいます。

呼吸の状態とその時の姿勢は、深い関わりがあって良い方へも悪い方へも強く影響しあっているのです。

 

呼吸をラクに、姿勢を良くするために…肩甲骨に注目!

呼吸は一種の運動で、無意識のうちに、たくさんの筋肉を使い、胸郭を広げて肺に空気を取り込み、そして筋肉が緩むことで胸郭がしぼむことで吐き出しています。ラクに呼吸ができているときには、おもに肋骨についている筋肉や横隔膜が働いて、胸郭のスムーズな運動が行われます。

これを「安静時呼吸」といいます。

深呼吸するときや、息苦しくて、早くたくさんの空気を取り込み、吐き出したい時には、さらに首まわり、肩まわり、胸や腹部の筋肉も協力して、胸郭と肺を大きく動かすように働きます。

このたくさんの筋肉に助けてもらいながら、大きく呼吸することを「努力性呼吸」といいます。

努力性呼吸では、意識的・無意識的を問わず、深く大きな呼吸が行えます。

しかしそのぶん、安静時呼吸に比べるとたくさんの筋肉を使わなければならず、息をすること自体でエネルギーを消耗してしまったり、首や肩を動かす筋肉に疲労がたまって凝ってしまうという、体にとって負担となる一面もあります。

なんらかの原因で、安静時呼吸では十分な呼吸が行えなくなっているとき、脳をはじめとしたカラダ全体に酸素を供給するため、私たちは無意識のうちに努力性呼吸をしています。このとき、肩や首の筋肉を過剰に使ってしまうので、肩甲骨の配置が、正常範囲を超えて背中の上の方まで上がってきたり、手を動かすようなことを何もしていないのに天使の羽根のように浮き上がってしまったりします。

甲骨の位置がずれてしまうと、息を吸うときに背中の方までしっかり吸い込むことができなくなってしまいます。

また自然な呼吸で起こっている、吸ったら伸びて、吐くときかがむという背骨の動きも制限されます。

というのは、吸ったときに背骨が伸びるためには、肩甲骨が周りの筋肉の活動で、少し下方内側に移動しなければならないのですが、筋肉が働きにくくなり、肩甲骨が良い位置まで動かせないのです。

そうなると、肩甲骨が肩の上にのしかかるおもりのようになってしまい、猫背の悪化や、大きく呼吸ができない状況へ陥ってしまいます。

しかもさらに困るのは、普通に生活していたら、自分の肩甲骨がいったいどこにあってどっちを向いているのか、しっかり背中に貼り付いてくれているのかどうかなんて、自分では分からないし、意識することもないということです。

こんな姿勢が長く続けば続くほど、呼吸は浅く速くなり、肩や首の筋肉もこり固まり、頭痛やめまいなどの身体の症状がでてきたり、いつもイライラしたような精神状態と向き合わなければならなくなってしまうかもしれません。

 

ピラティスのエクササイズで、肩甲骨の位置を整えられる

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ピラティスでは、エクササイズの中で、呼吸そのものへの意識を高め、エクササイズへの集中と、ストレスなどをつかさどる自律神経の活性化を図っていきます。

さらに、腕や肩を動かすエクササイズの中では、スタートポジションから動きの最中、終わりまでずっと、肩甲骨が良い姿勢を保つのに理想的な位置で置いておけるような工夫がされています。

例えばエクササイズのはじめに、さまざまな方向へ腕を動かすウォーミングアップを行うことがあるのですが、その中には肩甲骨の6方向への運動(挙上、下制、内転、外転、上方回旋、下方回旋)を自然と行ない、しかも自分で意識できるようなものが含まれています。

ふだん意識していない場所を動かすのは、はじめはとても難しいですが、ストレッチポールや幅広いゴムでできたバンドなど、さまざまな小道具を活用することで、肩甲骨の動きや位置がわかりやすくなるよう工夫することができます。

そして一度分かると、姿勢が変わったり、違う運動をしている最中でも、肩甲骨が自分の背中でどこにあるのかが感じられるようになってきますし、適切な位置に保つこともできるようになります。

ピラティスは、エクササイズをしている最中だけでなく、ふだんの生活のをする中でも、自分のカラダへの意識を高めたり、良い姿勢がどのようなものかというイメージをわかりやすくしてくれる効果もあります。

 

自分がどんなふうに立っているか、正しく認識できている人は少数派です!

ふだんのご自分の姿勢について、どう捉えられているかは個人差が大きいですし、どのような姿勢がいわゆる良い姿勢なのか、というイメージも人それぞれです。

そして日本人は特に、姿勢や歩き方などについて習うような機会がほとんどありませんし、中には良い姿勢というのは背骨がまっすぐに伸びきった状態であると思っている人もいます。

しかし実は、脊椎というのは、頚椎は前方、胸椎は後方、腰椎は前方へ少し弯曲しているのが本来のかたちなのです。

小さい頃から猫背を直すようしつけられてきた人の中には、必要な脊椎の弯曲までなくしてしまった、フラットバック(平背)という、良くない姿勢をとっている方もおられます。

ただ、日頃から自分の姿勢が良くないと思っている方は、自覚されているぶん、まだ良いかもしれません。

自分では姿勢が良いと思っているひとの方が、自分の姿勢のゆがみやりきみに気付かれていないので、その分だけ、姿勢の影響による痛みや自律神経の乱れ、内臓の不調が出て来たときに、対応が遅れてしまうことがあり得ます。

また最近はワークアウトブームで、健康やストレス発散のために習慣的に運動している人が増えていますが、そのような方の中には、姿勢やバランスが崩れたままで、ご自分の体にどんどん負荷をかけてしまい、関節や筋肉を傷めたり、怪我をしてしまう方もおられます。

リラックスして過ごす時間も、しっかり運動する時間も快適に、効果的に過ごすことができるようにするためには、基本の姿勢がとても大切です。

ピラティスのエクササイズを行うことで、自分の姿勢や動くときのクセにも気づくことができますので、経験したことのない方はぜひ一度、自分の姿勢が改善して呼吸がラクになったり、歩きやすくなったり、バランスが良くなるといった効果を感じてみられることをおすすめします!