筋膜リリースとストレッチの違い。そして、筋膜リリースの禁忌事項とは?
最近はテレビなどでも「筋膜リリース」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
リハビリ業界でも徐々に浸透し始めてきた言葉ですが、最近特にメディアが扱うようになってきたと感じています。
ストレッチみたいなもの・・?
聞いたことはあるけど詳しくは分からない・・という方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は筋膜リリースについてできる限り分かりやすく解説していきたいと思います。
そもそも筋膜ってなにもの?
筋膜とは
筋膜とは名前の通り、筋肉を覆っている薄い膜のことを言います。
筋膜は「第2の骨格」とも呼ばれています。
筋膜は全身に連なる結合組織で、3次元的に身体全体を覆っています。
イメージとしては並列に正しく並んでいるのではなく、縦横無尽に走っている網の目のようなものだと言えます。
また、筋膜はコラーゲン(膠原)線維とエラスチン(弾性)線維から構成されており、浅筋膜・深筋膜・筋外膜・筋周膜・筋内膜の5つに分類されています。
筋膜は繋がっているもの
筋膜は一定の法則に従ってお互いに連結しあうことで3次元的なバランスを保っています。
そのため、筋膜のある一か所に機能障害が起きると離れた部位に影響を及ぼすこともあるという特徴があります。
筋肉そのものはお互いに繋がっているわけではありませんが、筋膜は連結して繋がっているのです。
痛みの原因は筋膜の癒着?
筋膜の癒着と痛みの関係
筋膜は上記のようにコラーゲン線維エラスチン線維で構成されており、そのほとんどが水分です。
その水分が減少していくことによりコラーゲン線維・エラスチン線維の間を埋めている部分の流れが悪くなりドロドロとした状態になります。
そしてゼラチンのように固まり、コラーゲン線維とエラスチン線維の新陳代謝を妨げ次第に筋膜が癒着していきます。
この筋膜の癒着が人体の痛みの原因となってくる場合があるのです。
なぜ筋膜が癒着してしまうのか
筋膜が癒着してしまう原因はいくつかありますが、その一つにストレスが挙げられます。
ストレスそのもので筋膜が癒着するわけではありませんが、人間はストレスを感じると自然と肩をすくめたり、歯を食いしばるような動作をすることが多いです。
普段からストレスを感じている人は無意識のうちに全身に力が入っていることが考えられます。
このようにストレスによって持続的に力が入る状態が続いたり、普段使わない筋肉を使うことで筋膜の癒着の原因になることもあります。
筋膜リリースとストレッチの違いについて
それぞれの目的と対象
筋膜リリースとストレッチは見た目が似ているようなものも存在しますが、狙っている対象の箇所(組織)や目的、実施時間などに違いがあるので注意が必要です。
それぞれの違いを下記にまとめてみました。
〇筋膜リリース
対象箇所:筋膜の癒着またはねじれがある箇所
目 的 :癒着またはねじれた筋膜の修正・改善
実施時間:おおむね90秒以上必要とされている
〇ストレッチ
対象箇所:自分が伸ばしたい筋肉の箇所
目 的 :筋肉の柔軟性・伸張性の向上
実施時間:おおむね10~30秒程度
筋膜リリースの禁忌事項
筋膜リリースをやってはいけない場合(禁忌)を以下に紹介します。
発熱中の方・転移のある癌(過去5年以内に再発している場合)の方・感染症の方・妊娠中の方・骨粗鬆症の方・合併症を伴う糖尿病を患っている方・体に怪我腫れのある方・骨膜炎、皮膚硬化症などの結合組織の炎症のある方・手術直後の方・医師のもとでコントロールされていない循環系疾患を患っている方・医師から徒手療法やマッサージを許可されない疾患のある方
などの方が禁忌の対象となりますのでご注意ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
最近よく聞く言葉となってきた「筋膜リリース」ですが今後はもっと聞く機会が増えていくのではないでしょうか。
それほど医学界やリハビリ業界では定着してきています。
日ごろのストレッチではなかなか改善しない痛みがあるような方はもしかすると筋膜が原因にあるかもしれません。
そのような場合にはぜひ筋膜リリースを試してみてその効果を比べてみるのが良いと思われます。
適切なやり方を知りたい場合は専門書が徐々に出版され始めているためそちらを参考に行ってみるのが良いと思います。