リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

『リハビリテーションとは?』

「リハビリテーション」という言葉はよく耳にすると思います。

たとえば骨折の後に「リハビリをしましょう」というように、一般的にはトレーニングやマッサージ、動作訓練をするという意味で使われることが多いですが、この「リハビリテーション」という言葉にはもっと広く、深い内容が含まれています。

 

リハビリテーションという言葉の由来

リハビリテーションrehabilitationは“re(再び)+habilitare(適合させる)”というように2つの言葉からできています。

もともとは中世ヨーロッパなどで失われた名誉・地位・特権などを回復するという意味で使われていましたが、第一次世界大戦の頃より医療の現場で、身体機能の回復や社会・職業への復帰のために使われるようになりました。

現在では、障害を治すだけでなく障害を持った人がより良い人生を送ることができるよう支援を行っていくこと全般を指して使われています。

 

リハビリテーションを行う意義

リハビリテーションというと病気にかかる、ケガをする前の状態に戻すことをイメージされる方も多いと思いますが、以前の状態に戻らないケガや病気になることもあります。

医療・介護の現場でリハビリテーションを行う意義は、ただ単に身体の回復を目指すだけではなく、一人の人間として自立した生活を送っていくために必要なことを獲得できるようにすることにあります。

生活や職業の自立まで到達できない重症な方に対しては、単に身体機能の改善による自立を求めるのではなく、仕事や旅行、買い物等の余暇活動などを通じて社会の場へ再び参加すること、つまり“生活の質(QOL:quality of life)の向上“を目指すものとなります。

リハビリテーションを行うことにより、一人ひとりの人生にあった生活能力を獲得し、豊かな人生を送れるようになることが大切です。

 

リハビリテーションに関わる3つの専門職種

リハビリテーションに関わる職種はいろいろとありますが、医療・介護の現場で主にリハビリテーションを担っているのは、以下の3つの専門職種になります。

 

理学療法士(PT:physical therapist)

主には運動機能の回復を目指していきます。筋力訓練や関節可動域訓練などの運動療法と温熱、電気刺激などの物理療法を使って、寝返る、立ち上がる、歩くなどの基本的な動作ができる状態を目指します。

 

作業療法士(OT:occupational therapist)

日常的な作業活動などを通して心身機能の回復を図っていきます。身体機能の中でも手の機能や認知・行為機能の障害を扱うことが多く、食事や着替えなどの日常生活動作や買い物、乗り物の利用など生活関連動作の拡大を目指します。精神疾患に対しても作業活動を通じて機能回復を目指していくところが理学療法士との大きな違いになります。

 

言語聴覚士(ST:speech therapist)
「聞く」「話す」などといった言語に関する機能が困難になった人に対し、聞こえや発声のサポートなどコミュニケーション能力の回復を目指します。喉の機能回復も対象とし、食事をするときに「飲み込む」能力についてもサポートを行います。

 

リハビリテーションは医師の指示のもとに、これらの専門職とともに看護師や栄養士、医療ソーシャルワーカーなど複数の専門職種が連携をとりながら進められます。

 

参考資料

三上真弘,出江紳一 編:リハビリテーション医学テキスト改訂第3版,南江堂,2012