脊柱側弯症
側弯症とは、正面から見て背骨が横に曲がっている状態のことを言います。
背骨は横から見るとS字状に弯曲していますが、正面から見ると真っすぐなのが正常です。
成長期の子供に多く保護者の方も心配している人が多いと思います。
重度になると手術も必要になる側弯症。
今回は側弯症について解説していきます。
側弯症の分類
脊柱側弯症は一般的に機能性側弯症と構築性側弯症の2つに分けることができます。
①機能性側弯症
機能性側弯症は一般に背骨や胸郭の変形がないものです。
痛みがあったり足の長さが違ったりすることでかばうように生活した結果、背骨が曲がっている状態です。
痛みなどの原因を取り除く事ができれば側弯も消失します。
②構築性側弯症
構築性側弯症は背骨そのものが変形し、肋骨の変形も伴います。
肋骨の変形が起こることで美容的な問題や、胸郭を狭く変形させ重症例では呼吸器疾患も併発してしまいます。
特別な原因もなく発症する特発性と他の病気によって発症する症候性の2つに分けられます。
側弯症の約70%は特発性側弯症であり、発症する時期により乳幼児、学童期、思春期に分類されます。
また思春期の発症が大部分を占めることになります。
特発性側弯症の原因は不明ですが遺伝や成長、代謝異常などいくつかの因子が重なり合って進行していくと考えられています。
評価法
側弯症と診断する際には姿勢を見ます。
①前屈検査による肋骨あるいは腰部の膨隆
②ウエストのくびれの左右非対称
③両肩の高さの左右非対称
④両肩甲骨の左右非対称
また、側弯の程度(重症度)を把握するためにCobb角というものが一般的に使用されています。
Cobb角は専門医がレントゲンで計測します。
一般的にはCobb角が20~50°までは保存的に治療を行い、50°以上になると手術療法が適応になってきます。
治療
Cobb角が10~20°の軽度の側弯症では生活指導と運動療法が主になります。
運動療法の目的は体幹の可動域の改善と体幹筋力の維持と強化、弯曲の進行の予防が主になってきます。
しかし、残念ながら側弯自体を矯正することは難しいといわれています。
側弯症患者の筋力は全方向で低下していることが多く、特に腹筋の筋力低下が著明です。
自宅でできる腹筋強化を中心としたホームエクササイズの指導、進行性かどうかを判断するための定期的なレントゲンチェックが重要になってきます。
Cobb角が20~40°の中等度側弯症でまだ成長が見込まれる場合は、装具療法と保存療法が適応となります。
変形した背骨は脊柱に柔軟性のあるうちに矯正しそれを保持する必要があるため、装具療法は側弯症に対してもっとも重要になってきます。
装具療法はお尻から腋の下まであるコルセットを使用して、側弯の進行を防ぎ、弯曲の矯正を行います。
装着時間は原則的に、入浴の時間を除いて1日中になりますが、かなり大きなコルセットになるため心理的な配慮も行い、短時間の使用から開始する場合もあります。
成長が止まるまで継続して装具を使用します。
治療効果は高いですが、完全に矯正することは難しいとされています。
スポーツなどは装具を外して行ってもいいです。
野球などの左右非対称に捻るスポーツも行い、できるだけ周りの友達と同じ生活をするように心がけましょう。
Cobb角50°以上の重症例では成長が止まってもさらに進行するとされており原則的に手術適応となります。
重症例になると神経が圧迫されることで足に症状が出たり、内臓が圧迫されたり、胸郭が変形することにより呼吸器障害が出現することがあります。
側弯症に対する手術療法は弯曲した背骨できるだけ矯正することと、その位置で固定することにより安定した背骨にすることが目的になります。
しかし、無理に角度を戻そうと矯正してしまうと逆に神経を傷つけてしまう可能性があり、真っすぐに戻すことは難しいです。
まとめ
今回は側弯症について解説していきました。
側弯症は思春期に起こる特発性側弯症が大部分を占めます。
軽度から中等度の側弯症では装具療法や運動療法が適応となります。
重度の症例では手術療法が適応になりますが側弯自体を完全に矯正することは難しいです。
側弯をできるだけ抑えるには早期発見が重要になってきます。
特に装具療法は背骨に柔軟性が残っている年齢が低い時期から行うことが望まれます。
日本では、学校の健康診断で側弯の検査を行い早期発見に努めています。
家庭でも上述した姿勢を確認するようにしましょう。
見つけたら早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。