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骨粗鬆症の原因と治療・予防

みなさんは『いつのまにか骨折』という名前を聞いたことありますか?骨折する時というのは転んだり転落したりと何かしら受傷機転があるのですが、『いつのまにか骨折』とはそういう受傷機転がないため、本人もわからずに骨折している事をいいます。この背景には骨粗鬆症という骨が弱くなる病気が大きく影響しています。今回は骨粗鬆症について説明していきます。

 

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症は『単位面積当たりの骨量が低下し、そのために骨が物理的支持体となりえず、軽度の外力でも骨折を起こす危険性が高まっている状態』と定義されています。
簡単に言うと、骨の強度が低下して骨折するリスクが高くなる病気ということです。そもそも人の骨量は20歳ごろに最大となり、40歳を超えたころから加齢とともに徐々に減少します。骨粗鬆症は病的に骨量が減少し、骨がスカスカになってちょっとしたことで骨折してしまうようになります。

 

骨粗鬆症になる原因 

骨粗鬆症の原因は大きく外的因子と内的因子があります。
外的因子には栄養不足、運動不足、生活習慣が挙げられます。具体的にはカルシウムの摂取不足やリンの過剰摂取、低活動や不動、日照や嗜好品などがあります。
内的因子はホルモンバランスの乱れ、加齢による吸収力の低下や生理的な骨減少、遺伝などがあります。特に、女性の場合は閉経後のホルモンバランスの乱れにより急激に骨量の減少が進むため、注意が必要となります。内的因子は日常生活で変える事はできませんが、外的因子は日常生活で調整が可能になります。

 

骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症の検査にはレントゲン検査、骨密度検査、血液検査があります。
レントゲン検査では腰椎(腰の背骨)のレントゲンを撮ります。骨粗鬆症の骨は骨の中に鬆(す)が入ったようにスカスカになって写ります。
骨密度検査は、骨の密度を測ります。骨の強さを見る指標の一つで、若い人の骨密度の平均値と比べて自分の骨密度が何%であるかを検査します。80%以上で正常、80~70%で骨量減少、70%未満で骨粗鬆症と診断されます。
血液検査では骨代謝マーカーというものを検査します。これで骨の新陳代謝の速度を調べることができます。骨は元々骨形成(骨を作る骨吸収(骨を壊すがバランスよく行われていて正常の骨を作っています。骨代謝マーカーは骨吸収を示すため高値になると骨吸収により骨密度の低下が早く起こってきます。

 

骨粗鬆症の治療・予防

骨粗鬆症の治療の目的は、骨密度の低下をできるだけ防ぎ骨折しないようにすることです。治療には食事療法、運動療法、薬物療法があります。
食事療法では骨密度を低下させないようにカルシウム、ビタミンDなどを摂取します。カルシウムは吸収率が低い成分なのですが、ビタミンDを同時に摂取することで腸でのカルシウムの吸収率がよくなります。また日光に当たるだけでビタミンDは体内で生成されます。30分ほどで十分なので少しずつ外出して日光に当たる習慣をつけましょう。
リンは骨吸収を促進するように働くため過剰の摂取はおすすめできません。スナック菓子やインスタントラーメンはできるだけ控えましょう。

運動療法では軽度の骨粗鬆症の方には有酸素運動が勧められています。骨は負荷がかかると強くなる性質を持っています。普段から散歩や階段の昇り降りをすることはとても大事になります。症状が強い場合は運動することにリスクがあるのでその場合は医師に相談しましょう。
薬物療法では現在、たくさんの骨粗鬆症の治療薬が出てきています。1人1人の症状や社会背景に応じて選択することができます。最近では骨を強くする効果を期待できる薬も登場してきています。しかし安全に効果を出すためには薬の用法を守らないといけません。週に1回の注射や1日1回の注射などがあり、その薬によって摂取するタイミングが異なるので医師や薬剤師の指示をよく確認しましょう。
また骨粗鬆症の薬は1年2年と長期間の治療で効果がでてくるものです。治療を始めても途中でやめてしまうと意味のないことになってしまいます。自己判断でやめたりせず、根気よく治療を続けることが大事です。

 

まとめ

今回は骨粗鬆症について説明してきました。骨粗鬆症になると骨折するリスクが高くなります。予防・治療には食事、薬、運動があります。食事や運動は日常生活の中から行っていくことができます。軽い運動カルシウムの摂取を心がけましょう。
最後に、骨粗鬆症の予防をしていくためにはまず自分自身の現在の骨密度を知るところから始まります。そのため、定期的な骨密度検査を行いましょう。特に40歳以降の女性の方は半年から1年に1回は定期検査を受けることをお勧めします