リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

慢性腎臓病(CKD)患者とそのリスク

リハビリの現場では脳血管や運動器の疾患以外にも慢性腎不全を既往歴、現病歴とした患者さんに遭遇することも多いかと思います。

 

若いセラピストは他にも勉強しなければいけないことも多く、腎臓の疾患をもった患者さんに対してどういった注意をしていき、どういった対応をすべきかわからない方も中にはいるかと思います。

 

今回はそんな方にわかりやすく慢性腎臓病(CKD)の患者さんに対して、リハビリを行う上での注意点をお話していきます。

 

腎臓の機能

国試の時に散々勉強したかとは思いますが、おさらいのために腎臓の機能の説明をさせて頂きます。

 

1老廃物の排泄

腎臓は血中の尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物をろ過し、尿として体外へ排泄する働きを持っています。この機能は腎臓の機能の中でも最も重要な機能を果たしてます。

 

2電解質の調節

腎臓は体の中の水分量を調節しながら、体の電解質の濃度を一定に保っています。それにより、細胞内外の水分量のバランスを保ったり、筋肉の収縮や神経の伝達などにも作用しています。

 

3酸塩基平衡の調節

人の体内のpHはpH7.35から7.45に保たれており、このpHを調節しているのが腎臓と肺です。腎臓による酸塩基平衡の調節は代謝性調節と呼ばれ、酸を尿中に排泄し、重炭酸イオンを産生しpHを保っています。

 

4内分泌器官としての役割

腎臓は内分泌器官としてホルモンを産生する役割があり、血圧の調整や骨の生成などに必要なホルモンを分泌しています。

 

慢性腎臓病とそのリスク

1浮腫

腎機能が低下すると、水分の排泄やナトリウムの排泄が滞り浮腫になりやすい。そんな時に塩分(ナトリウム)や水分を多く摂取するとさらに浮腫が悪化しやすくなります。慢性腎臓病患者の浮腫を見つけたら、塩分や水分の摂り過ぎによる浮腫なのか、低栄養やネフローゼ症候群によるものなのかを問診や血液データから確認する必要があります。また、浮腫が悪化すると皮膚が弱くなり擦過傷などのリスクも高くなるため、車椅子への移乗の際はフットレストなどへ下腿が接触しないように注意が必要です。

 

2高血圧

腎臓の機能が低下し高血圧になると、その高血圧がさらに腎臓の負担になり、腎臓の機能が低下するといった負のスパイラルに陥りやすくなります。そのため慢性腎臓病患者の血圧管理は腎臓の機能を守るためにも重要となってきます。慢性腎臓病患者の降圧目標値は130/80mmHg未満となっています。

 

3高カリウム血症

慢性腎臓病患者はカリウムの排泄も困難な子供と代謝性アシドーシスにより、高カリウム血症になりやすいです。高カリウム血症が進むと心室頻脈や心室細動などの危険な不整脈の出現に注意が必要です。カリウム値がさらに上昇すると心室頻脈や心室細動が出現し、最悪の場合心停止となることもあります。

 

 今回紹介したものは一例ではありますが、リハビリの場面での知識として役立てて頂けたらと思います。