肩関節の関節包を見る時に基準となる角度は○○度!
肩関節の構造
狭義の意味での肩関節は肩甲骨関節窩と上腕骨骨頭から構成される肩甲上腕関節を指します。
しかし、臨床上では狭義の意味での肩関節だけでは進めることが困難です。
肩は胸郭の上に肩甲骨が位置し、体幹と結ぶのは唯一鎖骨だけであり不安定な構造をしています。
そして、肩は上腕骨を動かしていくと全身麻酔をかけていても、眠っていても肩甲骨周りの筋の活動を伴い肩甲骨も動きます。
もちろん亡くなっている方であれば肩を動かしても肩甲骨は動いてきません。
ということは生身の身体を見る場合には狭義の肩甲骨関節窩と上腕骨骨頭から成る肩関節だけではなく、腕を動かした時に伴って動いてくる部分全てについて考える必要があります。
一般的に肩を治療しているセラピストは肩と言った場合には肩関節複合体として、解剖学的関節は肩甲骨関節窩と上腕骨骨頭の肩甲上腕関節、肩甲骨の肩峰と鎖骨の肩鎖関節、胸骨と鎖骨の胸鎖関節、胸郭と肩甲骨から成る肩甲胸郭関節も含め、さらに胸骨と肋骨から成る胸肋関節、胸椎と肋骨から成る肋椎関節、烏口突起と肩峰とそれらを結ぶ烏口肩峰靭帯と上腕骨骨頭から成る第二肩関節、全てを含めて肩と認識するべきです。
そのため肩を考える場合には上腕骨が肩甲骨に対して動かないだけではなく、他の部分も考えながら評価していかなければいけない訳です。
肩を評価する上では狭義の肩甲骨関節窩と上腕骨骨頭だけではなく全体を見ることが大事になってきます。
関節包の特徴
狭義の意味の肩関節を覆っており、関節を安定するにしても守るにしても非常に大切な構造の一部になっているのが関節包です。
この関節包は上腕骨骨頭の2倍の容積を持っていると言われています。
しかし、通常関節の中は陰圧になっているので関節にへばりついたような形になっています。
関節包内は下垂位では陰圧ですが上肢挙上90度を超えると陽圧に変化していきます。
そして、C-Cメカニズムと呼ばれている烏口突起から鎖骨にいく烏口鎖骨靭帯、烏口突起から肩峰にいく烏口肩峰靭帯、肩甲骨と上腕骨を結ぶ烏口上腕靭帯というものが存在します。
関節包は肩甲骨が向いている方向上に上腕骨を挙げていって、だいたい肩甲骨に対し20度から30度程の位置、なおかつ内外旋されていない中間位の位置が上の関節包、前の関節包、後ろの関節、下の関節包の張力が一致している位置と言われています。
しかし生身の身体では上腕骨を動かすと必ず肩甲骨も動いてくるため、一般的にはだいたい45度と覚えておくといいです。
この45度の位置が肩の基準となる姿位となります。
また水平内転位では、後ろの関節にが緊張し、前の関節包が弛緩します。
水平外転位では、後ろの関節包が弛緩し、前の関節包が緊張します。
下制位では、上の関節包が緊張し、下の関節包が弛緩します。
挙上位では、上の関節包が弛緩し、下の関節包が緊張します。
しかし、挙上90度以上では捻れが生じるため全関節包が緊張します。
挙上90度以上で可動域制限がある場合には上の関節包、前の関節包、後ろの関節、下の関節包、全ての柔らかさがある程度ないと運動制限に繋がってきます。