リハラボ

知っておくと役に立つリハビリの知識を紹介

今はどのような状態?脳出血の麻痺と5つのステージの確認方法

はじめに

脳出血の麻痺には、「麻痺の種類」と「ステージ」があります。ステージという言葉は聞きなれないかと思いますが、麻痺の回復過程を6段階で表した経過の指標です。数字はⅠ(重度)~Ⅵ(軽度)と、数字が増えるほど今までの動きに近くなってきます。今回は、この2つについてどのような状態かをお伝えします。

 

麻痺の種類

 麻痺とは、一般的には手足などの四肢の運動機能や感覚が鈍り、もしくは完全に失われた状態を指します。脳出血の麻痺には弛緩性麻痺と痙性麻痺との2種類に分けられますが、症状の出現は様々です。発症直後は弛緩していることが多いですが、時間の経過と共に少しずつ変化のある時、変化が難しい時などは脳出血を起こした場所や大きさ、処置までの早さなどにより異なります。

 

 <弛緩性麻痺(しかんせいまひ)>

・身体の力が抜けた状態で、ダラーンとしています。筋の筋緊張や反射の反応が弱く、筋委縮が起こりやすいため疲れやすくなります。特に肩関節は脱臼しやすくなるため、腕や足の位置に注意が必要です。(肩関節は前に抜けやすく、股関節は後ろに抜けやすいと言われています。)

 

 <痙性麻痺(けいせいまひ)>

・麻痺の起こった筋肉の緊張が高まり、つっぱった状態が続くことです。そのため、弛緩性麻痺とは異なり反射が強く出過ぎる、動かそうと痛みが出やすくなります。(※個人差あり)また、筋緊張が長く続くと関節が固くなり、曲げ伸ばしの動きが難しくなることがあります。

 

麻痺のステージ

 脳出血などの脳血管障害の場合、一般的にまったく動かせない状態から「共同運動」と呼ばれる運動ができるようになって、だんだん元の動きに近づいていくという回復過程をたどります。この回復過程を“ステージ”とよびⅠ~Ⅵ段階で表します。しかし、身体全体が同じように回復する訳ではないため「手、上肢、下肢」とそれぞれの経過を確認していきます。

 
 
 Ⅰ:ブラブラしてまったく動かせない

 Ⅱ:何かのはずみで“勝手に(反射的に)”動いてしまう

 Ⅲ:共同運動ならできる(自分で動かせるが、決まったパターン)

 Ⅳ:少しは分離した(別々の)動きができる

 Ⅴ:かなり分離した(別々の)動作ができる

 Ⅵ:正常に近い動作ができる

 

 

<ステージⅠ>

弛緩期(しかんき)と呼ばれ、筋肉が全く動かない重度の麻痺です。肩関節が脱臼や亜脱臼が起こりやすく、寝る時などに手を下へひかないように注意が必要です。

・手:「グー」ができない

・上肢:全く動かない(ブラブラで軟らかい)

・下肢:全く動かない

 

<ステージⅡ>

 痙性期(けいせいき)と呼ばれ、筋肉がつっぱってくる時期のためくしゃみをした瞬間に腕があがったりします。動かそうとする動作の筋肉の収縮に触れることができます。

・手:ほとんど動かない

・上肢:ほとんど動かない(腕がカチカチでかたい)

・下肢:ほとんど動かない

 

<ステージⅢ>

 自分で動かせますが、決まったパターンでしか動かせない時期です。上肢は曲げる動きが、下肢では伸ばす動きが強く出ます。

・手:「グー」は出来るが「パー」ができない

・上肢:麻痺した腕も上がるが、十分には上がらない(脇が開き、肘が曲がる)

・下肢:麻痺した足も少し上がるが、

座った姿勢では真ん中を保つことが難しくが外へ倒れる

<ステージⅣ>

 1つ1つの関節を独立して動かす「分離動作(ぶんりどうさ)」が少しだけ行える時期です。わずかですが、思うように手や上肢・下肢が動くようになってきます。

・手:指を少し開くことができたり、わずかに物をつまめる

・上肢:腕を前に上げたり、手を腰のあたりにつくことができる

・下肢:座った姿勢で膝を90°に曲げたり、足首を上に上げることができる

 

<ステージⅤ>

 分離動作がかなりできるようになる段階です。元の動きに近い動作が可能となってきます。

・手:色々なつまみ動作や「グー」「パー」が行える

・上肢:腕を麻痺のない手と同じ高さまで上げられる

・下肢:膝の曲げ伸ばしや立って足を前後に動かすことができる

 

<ステージⅥ>

 麻痺の影響をほとんど受けず、正常に近い動作が行えるようになります。(例えば、ごはんを食べる時にお碗を持って箸で食べるなど。)

・手:全運動可能(「チョキ」も行える)

・上肢:全運動可能

・下肢:全運動可能

 

まとめ

 いかがでしたか?ひと言で「麻痺」と言っても、種類やステージがあります。人によっては「だらんとした状態」,「肘がぐっと曲がった状態」など色々想像されると思いますが、どの種類も起こりえます。そして、先ほどにも述べましたが麻痺のステージ(程度)は“手・上肢・下肢でステージが違う”ことが良くあります。また、これらの症状だけでなく目に見えない「失語」や「感覚障害」,「高次機能障害」なども合併していることが多いです。そのため、「どの動きが出来るから、おおよそこのステージ」という指標にして頂けたらと思います。

『こんな症状があれば要注意!脳出血の症状をわかりやすく!』

現在でも日本人の死因の上位に挙げられる脳出血、この病気の名前を耳にしたことがある方は多いと思いますが、具体的にどのような症状を引き起こしどのように進行するのかを詳しく知る人は少ないかもしれません。こちらでは脳出血について分かりやすくご説明いたします。

 

脳出血とはどのような病気?

脳出血とはその字の通り、脳の内部の血管から出血する病態です。出血によって脳内部に広がった血液が脳実質を圧迫することで運動麻痺や感覚障害、言語障害などの諸症状が出現します。

脳は部位によって身体を動かす領域や感覚を受け取る領域、言語を理解する領域や言葉を発する領域などと多様に分かれており、脳出血が起きた場所によってそれらの侵される領域が異なります。同じ脳出血という病気においても、症状や程度に個人差が大きいのはその影響からです。

次項ではこのような脳出血の症状についてさらに詳しくご説明いたします。

 

脳出血の前兆となる症状は?

脳出血の前兆は小さな前駆症状が出現する人から、全く何の症状も出ずに急に発症する人まで様々です。

前駆症状がある場合、主に挙げられている症状は片方の手足が動きづらくなったり痺れなどの感覚障害が出現する、呂律が回りづらくなる、食物が飲み込みづらくなる、脱力感や眩暈が出現する、物が二重に見えたり視野の一部が欠けて見えたりする、激しい頭痛や吐き気が出現するなどです。これらの症状は脳梗塞の場合でも同じような症状が同様に前駆症状として挙げられます。これらの症状が見られたら脳に何かしら異常が出現したことを疑うほうがいいでしょう。少しでもこれらに当てはまるような症状が現れた際はすぐに病院を受診することを強くお勧めします。

また、前駆症状がない場合は突然の意識消失などが見られることがあります。脳出血は脳梗塞と異なり突然症状が出現することが多くなっており、鑑別の際の一つともなっています。

 

脳出血の原因は?

脳出血の原因で最も多いのは高血圧によるものです。発症した方のほとんどがこれまでに高血圧と診断を受けていたり注意を受けていたりされる方が多いようです。高血圧は生活習慣が引き金となる場合が多く、これを予防・改善するためには今一度自身の生活を振り返り改める必要があります。

日本人は昔より塩分過多な食事が多く、塩分摂取量は世界の中でもかなり多いと言われています。塩分過多は血液濃度が高くなり、それを中和するために血液量が増加し高血圧へと繋がります。加えて、最近では食の欧米化による糖分や脂質の摂取量の増加も高血圧へ同じく関係しています。日々の食事に配慮することは高血圧予防・改善には非常に重要とされています。

また、お酒やたばこなどの嗜好品も血圧を上昇させるホルモンを分泌させてしまい、高血圧の原因となりやすいのでなるだけ控えるべきとされています。

 

脳出血が発症しやすい環境とは?

脳出血は血圧の変動と密接に関係しており、環境も発症に大きく影響します。季節では11~3月の寒い時期に多いとされています。屋内と屋外や入浴前後などの寒暖差が大きくなることが血圧の変動にも関わり、血管への負担から脳出血へと繋がるようです。また、発症しやすい時間帯もあり主に日中の活動している時間帯に多くなっています。

更に重労働や心的ストレスなども血圧の上昇に影響し脳出血の発症へと至る場合もあるようです。長すぎる労働や身体に負荷がかかりすぎる力仕事などは高血圧と密接に関係しています。仕事についても身体面、精神面などの側面から見て過剰なストレスへとなっていないか環境調整することが大切です。

 

脳出血を予防しつつ、前兆にご注意を

脳出血の症状の特徴を簡潔にご説明させていただきました。

脳卒中は生活習慣病に分類されており、日々の生活に注意していれば防ぐこともできる病気です。特に食生活の乱れや運動不足などの生活習慣が血圧の上昇へと繋がりやすいので改めてご自身の日々の生活を見直すことが大切です。

万が一脳出血が疑われる症状が出現した際はすぐに救急車を呼んだり病院へ行ったり早急に対応することが必要です。

日常生活で早期発見!パーキンソン病の4大症状

パーキンソン病という言葉は聞いたことがあるけれど、「どんな病気だろう?」,「どんな症状が出るのだろう?」など思われたことはないですか?今回は、日常生活で発見できるかもしれない4大症状についてのご紹介です。

【4大症状】
PDには、必ずと言って良いほど出現する「安静時振戦・無動・固縮・姿勢反射障害」の4つの症状があります。言葉だけは「何だろう?」と難しく感じるかもしれませんが、生活動作で発見できる気づきが沢山あります。

安静時振戦
安静にしている時、何もしていない時に小刻みにふるえる症状です。
特徴は、動くとこのふるえは止まります。
(例・眼鏡を取ろうと手を伸ばす。など)
また、精神的な緊張が高まると震えが多くなると言われています。
始めは身体のどこか1側から症状の出ることが多く、
手や指・両腕・両足・顎などに出現しやすいです。

無動
動作の始まりが遅くなり、全ての動作がゆっくりで小さくなります。
歩く時に「すり足」・「すくみ足」・「小刻み」な歩行が特徴的です。
初期には、歩く時の手の振りが小さく左右に違いが見られたり、
身体の方向転換や寝返りが難しくなったりという変化が見られやすいです。
また、文字を書く時に段々と小さくなっていく「小字症」や
歯磨きが難しい(上下に動かす動き)なども見られたりもします。

固縮
固縮とは、手や足の筋肉がこわばり、関節をスムーズに動かすことが難しくなってくる症状です。特に手や肘に現れやすく、関節の曲げ伸ばしにおいて抵抗の有無が場合によってまちまちである「歯車様固縮(はぐるまようこしゅく)」が出現しやすいです。
また、顔の筋肉のこわばりにより喜怒哀楽の表情が乏しくなり“能面のよう”に例えられる症状を「仮面様顔貌(かめんようがんぼう)」と言われます。そのため、自身は普通にしていても「怒っている」と誤解されてまうこともあります。

姿勢反射障害
バランスを崩して身体が傾いた時に、バランスをとる事が難しくなり転倒しやすくなる症状です。特に後ろ方向への傾きのバランスをとる事が難しくなったり、また、一歩踏み出したら途中で止まれず「突進」するように進んでしまったりします。そのため、坂道などでは途中で止まれなくなったりするため注意が必要です。

まとめ
パーキンソン病は「進行性の病気」というイメージが強いかもしれませんが、日常生活での変化に早く気付くことができると、早期の治療により症状の進行を遅らせることができるようになると言われています。もし、ご家族やご自身で“あれ?何か今までと違う。”と思われる事があれば、かかりつけの病院などに相談してみるのも1つかもしれません。

参考文献
Moisan F.et al.J Neurosurg Psychiatry.2015 Dec.23.
パーキンソン病について知る~代表的な症状,診断・検査,対処法,進行の仕方~
実践リハ処方

これだけは知っておきたい腰痛の原因と対処法

はじめに

腰痛というのは、医療技術がかなり進んだ世の中になっても、仕事上でおこる障害の6割を占めていて、この比率は昔から全く変わっていないのです。少しぐらい改善されてもいいと思うのですが、そうではありません。急に腰痛になって、しばらくしても治らない、仕事も休みがちになってしまう、ずっと働いていられるのかな?この先の生活はどうなってしまうのだろう?と人生を不安にさせてしまいます。働く人たちを苦しめ、生産性を著しく低下させてしまう要因となっているのです。今回はそんな腰痛に対しての対処法を、リハビリの専門職である理学療法士としての立場からお伝えしていきます。

 

腰痛の基礎知識

腰痛のほとんどは原因がわからない!

まず腰痛の基礎知識から始めたいと思います。実は日本人の約8割が腰痛を経験するといわれています。そして医療機関でレントゲンやMRIなどの画像診断をしてもらう訳なのですが、しっかりと原因はコレだと分かる腰痛はわずか15%程度で、残りの85%はよく分らないけど、腰が痛いということになります。原因がわからないなんて少し怖い気もしますが、大抵は1ヶ月から2ヶ月ぐらいで治るものが多いというデータがあります。また、原因が分かる腰痛を少し専門的な言葉で言うと「特異的腰痛」といい、分らない腰痛を「非特異的腰痛」といいます。これらの腰痛が3ヶ月以上続いて長引いてしまうと、完治しにくく困ったことになりやすくなります。

 

腰痛が長引いてしまう原因とは?

では長引いてしまう原因とは何なのか?これには「体を動かすことを恐れ、腰痛とうまく付き合うのが下手」という方は腰痛が長引きやすい傾向があります。世界各国の腰痛診療のスタンダードでは、腰痛が起こった場合は3日以上の安静はNG、痛みの範囲内で動いた方が良いとされています。様々な研究結果から3日以上安静にした人の方が、普段動いていた人よりもその後の経過が悪いということがわかっています。
また脳には本来、痛みを感じたらそれを抑える物質が自動的に出るという、生まれつき誰にでも備わっている鎮痛機構があります。しかし不安・恐怖・不快などの負の感情、すなわちメンタルの問題によって本来ある鎮痛機構が正常に機能しなくなっている人も多いということも最近の研究で分かってきています。そのため、「精神的なストレス耐性が低い」方も腰痛が長引きやすいといわれています。
腰痛が発症してしまい痛みの体験をした後に、励ましや正しい情報を得ることができず、負の感情だけが溜まってしまうと、痛みの負のループに陥り、抜け出せなくなってしまう危険性があるということです。「病は気から」というのはよく言ったもので、少し楽観的にとらえるぐらいで丁度いいということです。

 

レッド・フラッグな腰痛

次はレッド・フラッグ「危険な腰痛」についてです。これはなるべく早く医療機関で対処した方が良い部類の腰痛になります。その兆候として、レッド・フラッグサインというのですが、「安静時でも痛みが引かない、動作による痛みの差がない(どんな動きをしても痛い)、痛みやしびれが強くなっている、胸の痛み・体重の減少・発熱が伴っている」などがあります。これには、悪性腫瘍・感染症・炎症性疾患・骨折などの重大な病変が隠されている可能性があります。もし腰の痛みと共にこういった症状がある場合は早めの受診をお勧めします。ちなみにこれは原因が特定できる15%の特異的腰痛に含まれるので、医療機関での診察や画像診断が有効になります。したがって裏を返すと、約85%の腰痛というのは特に病気はなく、筋力・体力を落とさないためにも、早めに動いた方がいいということなのです。

 

腰痛の原因

姿勢と生活習慣

ここからは腰痛の原因についてのお話になります。よく「姿勢を良くしましょう!」という話を巷でよく聞きますが、大抵の人は猫背だったり、腰が反ってしまっていたり、背骨が真っ直ぐになり過ぎている方がほとんどです。しかしこうした姿勢が腰痛に繋がりやすいということをまず念頭に置いておいて下さい。
ダメな姿勢になってしまう原因とは、例えば猫背で腰が反っている方がいるとします。想像して頂くと、首や頭は前に出て、背中は丸まり、お腹が前に出て腰が反りかえっているような姿勢となります。こうした姿勢は、背中を丸めて机に向かっていたり、腰を反らせて物を持ち上げていたり、うつ伏せで長時間過ごしていたりする習慣が普段からある方に多いです。つまり普段の生活習慣が悪い姿勢の原因になっているということなのです。

 

筋肉のアンバランス

そして悪い姿勢は筋肉のアンバランスというものを生じさせます。悪い姿勢をしていると筋肉が短くなる所、逆に引き伸ばされて長くなってしまう所が出てきます。これが筋肉のアンバランスになります。筋肉は正常な長さでないとうまく力を発揮できません。つまり短すぎても、長すぎてもダメということです。そして筋肉は皆さんご存知のように体の関節を動かしている動力源です。普段の生活で悪い姿勢をしている事により、こうした筋肉のアンバランスが生じていると、本来の正常な関節の動きを狂わせて、関節自体やその周囲にある部分にストレスをかけてしまいます。それが繰り返される事により痛みが出てきて、腰痛という状態に陥ります。もう少し話を広げると、悪い姿勢によって筋肉のアンバランスは体中で起こってくるので腰痛だけではなく、その他の身体のトラブルとして訴えが多い、首・肩・膝周りの痛みの原因にもなります。

 

腰痛の対処法

では腰痛の対処法に関しまして、まず「痛みを怖がらない」ということです。痛みを怖がり安静にしてしまうデメリットはかなり大きいです。また「運動・ストレッチ」もとても大切です。先ほど姿勢と腰痛の関係でもお話ししました、腰痛になりにくい体を作るためには、継続的な運動が大事です。さらに、運動には内因性オピオイド、いわゆる脳内麻薬です、この分泌を増加させて痛みを和らげてくれる効果もあります。加えて、先ほどお話しした脳に元々備わっている鎮痛機構も働きやすくなります。つまり、継続的な運動習慣は腰痛になりにくい体と同時に、痛みに強い「脳みそ」を作る事にもつながります。
次に「腰にやさしい体の使い方を身に付ける」ことも重要です。腰痛の原因は筋肉のアンバランスによって、体にかかる繰り返しのストレスでありますので、腰に負担がかかるような動作方法は極力避けた方が良いことになります。地味ですが非常に効果がある対策になります。あとはレッド・フラッグサインのような心配な兆候がある場合は、なるべく早く診察を受けるようにして下さい。そして一番重要なことは、「腰痛は自分でコントロールできる」ということです。

 

まとめ

「腰痛には運動やストレッチが大事」とても当たり前に聞こえますが、その当たり前を継続できずに腰痛を悪化させてしまう方が数多くいます。その要因としてはメンタル面の問題も大きく関わってきます。実際の運動やストレッチの方法に関しては、インターネットで検索できるもので十分効果があると思います。肝心なのは、腰痛と上手に付き合うことです。「腰痛は自分自身でコントロールできる!しなくてはいけないのだ!!」という能動的な気持ちが腰痛予防の第一歩となることを忘れないでください。

糖尿病患者にフットケアが必要な理由とのその方法

はじめに

糖尿病はインスリン代謝性障害を起因とする成人病です。糖尿病患者数はその予備軍を含めると2,000万人を超えるという統計が出ており、世界的にみると11人に1人は糖尿病だと言われています。
糖尿病の一番恐ろしいのは、その合併症だとされており、糖尿病の慢性合併症として有名なのは、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパチー、梗塞などが挙げられます。これらは糖尿病が引き起こす細小血管障害、末梢神経障害がその主体にあります。今回は合併症の中でも、下肢の末梢血管障害(血管閉塞)として起こる潰瘍や壊疽を予防する「フットケア」という考え方についてまとめていきたいと思います。

 

糖尿病患者にフットケアが必要な理由

フットケアとは足部の痛み・浮腫・違和感などを緩和する処置全般を意味します。これを重要視する理由としては、足部の潰瘍や壊疽が進行してしまうと、最悪のケースは切断という選択枝しかなくなってしまうからです。(壊疽とは足部の傷などから感染し、皮下組織・骨の腐敗をきたす症状)

 

潰瘍・壊疽の原因

糖尿病の足部潰瘍や壊疽が形成される要因として、まず糖尿病性ニューロパチーによる知覚消失があります。足をぶつけるなどしても痛みを認識できないため、足部の損傷に気付きません。知覚消失が存在している足部に様々な外的な要因が関与して潰瘍形成していってしまいます。外的な要因の例としては、靴の適合不良、胼胝形成、熱傷、外傷、爪や皮膚病変などがあげられます。そしてさらに高血糖の状態は、血液中の白血球の働きが低下し、易感染性や創部治癒の遷延を引き起こします。こうして損傷した部分の深部感染や虚血などにより壊疽に発展し切断に至るケースがあります。
糖尿病性ニューロパチーと末梢血管障害は単独でも強力な危険因子ですが、多くはこうして複合して発生し、さらに重篤な状態を引き起こしかねない要因となります。

 

フットケアの実際

セルフモニタリング

フットケアの中でまずやることは、足部の状態をよく観察することだと言われています。潰瘍や壊疽の予防は早期発見・早期治療が重要なので、神経障害が合併している場合は特に観察することが大切になってきます。また足部の清潔保持・保護(靴下を使用するなど)などのセルフケアも効果的です。足部の異常を見つけた場合は、すぐにフットケア外来などの専門外来を受診することが肝要です。
 足部の観察で清潔・傷の有無の他にチェックしておいた方が良いポイントは、足部の温度です。皮膚温の上昇は炎症の前駆症状と捉えられています。足部の皮膚温度をセルフモニタリングした場合、著明に潰瘍の再発率が減ったという研究結果があり、その重要性が示されています。

 

靴の選定・装具療法

セルフモニタリングやケアと並行して行うべきなのが、歩行時の足部にかかる圧力の軽減です。まずは自分の足に合った靴を選定することが大切です。靴の不適合による靴擦れは潰瘍発生要因の40%を占めています。靴の適合指導が足病変予防には重要だと言われています。また足部にかかる圧力を軽減する靴形装具やオーダーメイドのインソールの利用も有効です。これらは圧力を軽減するだけではなく足部の機能的アーチの保護に寄与し、足部潰瘍の発生率を下げる効果があります。

 

エクササイズについて

足部機能の維持のためにもエクササイズが重要ですが、過剰なエクササイズは潰瘍発生の要因とも成り得ます。ここではエクササイズの注意点を述べていきたいと思います。適切な運動をしていくには、足部の状態をしっかりと把握してからになります。ここでも皮膚温度が重要で通常の皮膚温より2.2℃の上昇が2日連続でみられた場合、通常の皮膚温に戻るまで歩行量を減少させた方がよいとされています。リスク管理をしながら荷重を伴う筋力トレーニングやバランス練習、歩行運動などのホームプログラムを実施した場合、1日の歩行量の減少が抑制され、廃用症候群の予防という観点での活動量への介入は有効であり、足部潰瘍形成率にも影響もないとされています。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?糖尿病は入院患者さんにおいて非常によく目にする合併症です。日頃から運動療法による低血糖症状の発生には注意をしていますが、フットケアに関しては見落とてしまっているセラピストも多いかと思います。入院中では医療スタッフの観察の目がありますが、重要なのは退院してから患者さん自ら足部の状態をチェックしていけるように入院中から指導していくことです。そのためにはフットケアに関する知識を身に付けて、その重要性を伝えられるようにしておくことも糖尿病のリハビリにおいては大切なことだと思います。

参考資料 糖尿病 理学療法診療ガイドライン

膝の痛みの原因を徹底解説!

はじめに

膝の痛みを引き起こす疾患として、国民の5人に1人は症状の兆候があり、言わば国民病とも呼ばれている「変形性膝関節症」(以下、膝OA)。膝OAをはじめとする関節疾患は、介護保険における要支援や軽度要介護者になる原因として注目されております。日常の診療でよく目にする疾患ではありますが、膝の痛みが起こる原因を正しく患者さんに伝えていることができていますか?理学療法士として、アプローチ対象となることが多い関節疾患だからこそ、もう一度きちんと病態を整理しておきましょう。

 

膝OAの発生要因

膝OAの簡単な疫学として、膝関節の変性が進行する原因を特定できない1次性のものがほとんどで、男女比は1:4で女性に多く、内側型(膝内反変形:O脚)が90%と大半を占めています。この1次性膝OAの発生要因としては、まず年齢(50歳以上)、性別(女性)、遺伝的要素、肥満などの生物的素因があります。これに加えて、膝関節の損傷につながる力学的負荷を生み出す、バイオメカニクスの問題が加わり、原因をより複雑化させています。そのためはっきりとした発生の原因が特定できないのです。

 

Kellgren-Lawrence分類(KL分類)について

膝OAの診断の1つに、レントゲン画像から判別するKellgren-Lawrence分類(以下「KL分類)があります。変性の進行度によってGrade0~Ⅳまであり、日常的によく使われる分類ではありますが、臨床症状との相関は低いです。レントゲン上では明らかに変形が進んでいるからといって、その患者さんが必ずしも膝の痛みを訴えているとは限りません。またその逆で、変形は進行していないが膝に強い痛みがあるケースもあります。つまりKL分類だけでは痛みの原因を判断するには情報量が足らず、問診やストレステストなどを組み合わせて推論していく必要があります。

 

痛みが発生するメカニズム

患者さんに対して「膝が痛いのは軟骨がすり減って骨と骨がぶつかって痛い」と説明していませんか?勘違いしやすいですが、その説明は間違いです。膝関節の解剖学書を参考にして頂ければわかりますが、関節面には強い痛みを引き起こす骨膜はなく、力学的負荷がたとえ骨まで達したとしても、痛みを伝える神経細胞は存在しないので骨と骨がぶつかって痛いということはありません。
痛みが発生する一番の原因は、滑膜の炎症だと言われています。関節軟骨に対する力学的負荷が軟骨の変性と分解を促す酵素を産生し、軟骨代謝の異常を引き起こします。この代謝異常の過程で、滑膜の炎症を引き起こし痛みの原因となります。また破壊された関節軟骨が遊離し、滑膜を刺激する事でも強い痛みが生じることがあります。
そして炎症を繰り返していく事によって、関節軟骨と関節包内側を覆う滑膜の変性が相まって、半月板や靭帯・筋を含む関節構成体すべての退行性変化が進みます。そうなると関節由来だけではなく、表在の組織が痛みを複雑化していきます。

 

膝内反モーメントと軟骨変性

痛みが発生するトリガーとなるのは、関節軟骨への過度な力学的負荷だということはご紹介しました。加えて日本では内側型膝OAが大半を占めるため、膝内反変形による内反モーメントが問題となります。この膝内反モーメントの大きさを決める因子は、床反力の大きさと膝関節・重心線間の距離になります。そのためアプローチの方向性としては、減量指導やアライメントの修正、膝内反モーメントから膝関節も守る筋力をつけることが挙げられます。

 

膝の痛みの鑑別

膝の痛みを訴えている患者さんを目の前にしたら、最初に何を行うべきなのでしょうか?それはリハビリ、すなわち運動療法を行ってよいのかどうかを判断することです。これから治療を展開していく前に必ず確認しなければ、治療どころか症状を悪化させてしまうことになりかねないので、重要な評価になります。
順を追って説明しますと、まず問診で炎症性の痛みなのか、力学的負荷が痛みの原因になっているのかを判断します。
具体的には①「寝ている時や座っている時に痛いですか?」
②「立ち上がりや階段の時に痛いですか?」
③「歩いている時痛いですか?」
①で「はい」ならば、炎症性の痛みが疑われます。鑑別診断としては膝蓋跳動テストを実施し、関節内に水腫の兆候がないか確認します。②で「はい」ならば、膝蓋大腿関節の痛みが疑われます。その部位の圧痛で鑑別できます。③で「はい」ならば、大腿脛骨関節の痛みが疑われます。やはりその部位の圧痛で鑑別できます。

 

まとめ

膝OAを起因とする膝関節の痛みについて解説してきました。患者さんが痛みに関する正しい情報を知ることは、アドヒアランス(患者さんが提示された治療法を理解し、主体的にその治療法に取り組んでいくこと)の観点から、リハビリを進める上で非常に重要です。その膝の痛みはどういうものなのかを患者さんに説明し、納得してもらうことが最良のリハビリの第一歩となるはずです。

『すぐ役立つ、失語症の方と話す、コツ!』

脳卒中や事故などの脳の損傷のよる後遺症のために、言葉をつかさどる脳の部分がうまく働かなくなったために、言葉を操る能力に障害が残った状態を失語症といいます。コミュニケーションの道具である言葉を思うように使えなくなるために、日常の何気ない会話も不自由になることもあります。
しかし!失語症であっても失われない能力やよくなる面もあるのです。会話する相手が、①失語症のことを知っておく ②やりとりのコツを知りマスターしておく ことで、失語症の方の力を引き出し、うまくやりとりすることも十分にできるのです。

注意)言葉の不自由な人すべてが失語症というわけではありません。何によって言葉が使いにくくなっているのか、原因を知ることが重要です。<例>失語症、構音障害、失声、認知症、意識障害など・・・

 

失語症の基本知識

以下の問いに○か×をつけてみましょう。
* 失語症は時間をかけて訓練すれば完治する。
 ×:長期間かけての改善は見込めますが、完治は難しいといわれています。

* 失語症の人は声は聞こえていても話の内容が理解できないことがある。
 ○:聴力の問題ではなく、意味の理解が出来ていないことがあります。

* 失語症で話すことが難しい場合には「はい・いいえ」で答えられる質問をするとよい。
○:具体的な答えを言うことが難しくても、yes-noが確実にできることが
多いです。

* 不自然でも一音ずつはっきり区切って「お・げ・ん・き・で・す・か」のように話しかけるほうがよい。
 ×:意味がわかりにくくなるために、かえって伝わりにくくなります。

* 身振りよりもできるだけ言葉を使うよう促す。
 ×:コミュニケーション方法で、使える手段は何でも使うべきです。並行して使うことで伝わりやすさがグンと上がります。

* 失語症の人も手話は理解できている。
 ×:もともと手話を使っていた方でなければ、手話はまったく有効ではありません。

* 言葉が出ないときは50音表の文字盤を指してもらう。
 ×:ほとんどの場合、まったく役にたちません。逆にストレスを与えることになりかねません。

* 言い間違ったときはその場で訂正してあげる。
 ×:時には聞き流し、聞く側が推測することも必要です。

* 説明は、できるだけ詳しくたくさんしてあげる。
 ×:長い話や説明は理解しづらいです。短く端的に、への配慮が必要です。

* こちらの言うことが伝わったかどうか確認することが必要である
 ○:間違って理解していることもあります。

 

失語症の特徴

会話がしにくいというと、話すことが難しくなったのだと思われがちですが、言葉の4種の側面「聞く」「読む」「話す」「書く」に問題があるために、ということがほとんどです。
●「聞く」
耳は聞こえているのに、聞いた言葉の意味がわからないというのが症状です。聴力の問題ではありません!
程度の差こそありますが、失語症のほとんどの方に聞く力の低下がみられます。特に大勢の人が集まっているところで集中して会話を聞き取ることや、よく知らない相手との会話だったりすると、難しさが目立ちます。

●「読む」
目は見えているのに、見た文字や文の意味が理解できなくなるというのが症状です。視力の問題ではありません。
こちらも「聞く」と同様、程度の差がありますが、一般的には仮名文字に比べ、漢字のほうが理解しやすい傾向にあります。漢字は表意文字といって、字を見ただけで大まかな意味をとれることができるのです。

●「話す」
多かれ少なかれ必ず話すことに障害が起こります。
* 言いたい言葉が浮かんでこない
* 思ったことと違う言葉を言う
* 回りくどい言い方をする
* 文章で話すことが難しくなる
* 同じ言葉でも言えたり言えなかったりする
* 前に言った言葉が続いて出てくる
* 口や喉には異常がないのに、発音がたどたどしくなる
* 50音表や手話は使えないことが多い

●「書く」
文字が思い出せなくなります。
「読む」と同様に、仮名よりも漢字のほうが書きやすい傾向があります。自分の名前を書くことから難しい方もいれば、文章まで書くことが出来ても濁点や拗音が抜けたり、助詞を間違えたりする方もいます。

 

失語症の方と話すコツ 

失語症についておおまかに理解できたら、次はそれをもとにコツをつかみましょう!
* 短い文でゆっくりはっきり話す
「り・ん・ご」と区切るのではなく、「りんご・食べよう」等短い文で!
* 表情や身振り、実物や文字を添えて話す
いつもよりやや大げさに!
* 使い慣れた言葉を使う
方言や言い回しなど、慣れ親しんだものがわかりやすい!
* 本人に興味のある話題を選ぶ
もともとの知識が役に立ちます!
* 理解できないときは言い回しを変えて繰り返す
難しい言い方になっていないかチェック!
* 一つの話題が理解されたことを確認してから次の話題に移る
そのほうが会話の流れがスムーズ!
* 話せないときは「はい・いいえ」で答えられる質問をする。
確実な答えを引き出せる!
* 本人の話は辛抱強く聞く
ゆったりした雰囲気のほうが落ち着いて話しやすい!
* 話すことを強いない、誤りを訂正しない
言い間違いは聞き手側が推測する!
無理やり正しく言わせようとしなくて良い!
* うまく反応できたときは一緒に喜ぶ
良い反応が心に残って強化される!
* 子ども扱いしない
大人としての丁寧な対応が大切!

 

まとめ

言葉が話せない、理解できないと、認知症や精神疾患等の他の病気と間違われることもあります。周囲の人が失語症への理解を深めて、会話しやすい環境・雰囲気づくりをすることが大切です。

【参考文献】
失語症の理解とケア  遠藤尚志著  雲母書房 2011

侮れない!ふくらはぎのストレッチが全身を健康に

はじめに

最近、ふくらはぎの健康が全身の健康や長寿のために重要であるということが言われています。

健康なふくらはぎとは筋肉がしっかりと伸び縮みをするしなやかな状態ですが、比較的大きな筋肉でありながら身体の末端にあるふくらはぎの筋肉が、なぜ全身の健康のために重要なのでしょうか。

今回は、柔軟なふくらはぎになるために必要なストレッチのやり方と効果についてご説明します。

 

ふくらはぎの筋肉とその働き

まず、ふくらはぎについている筋肉についてご説明します。

 

■下腿三頭筋

ふくらはぎの筋肉の中で最も大きい代表的な筋肉で、腓腹筋とヒラメ筋の総称です。

腓腹筋は太ももの骨である大腿骨の下端から始まり、ふくらはぎの膨隆を形成し、アキレス腱となって踵の骨につきます。

腓腹筋の深層にあるヒラメ筋はすねの骨である脛骨と腓骨の後面から始まり、腓腹筋とともにアキレス腱に移行し、踵の骨につきます。

下腿三頭筋はその収縮によって足首を伸ばす(底屈)方向に作用し、歩行やジャンプで地面を強く蹴る際に大きな力を発揮する筋肉です。

腓腹筋とヒラメ筋の最大の違いとして、腓腹筋は膝関節と足関節をまたいでおり膝を曲げることにも作用していますが、ヒラメ筋は足関節にのみ作用する筋肉であることがあげられます。

 

■長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋

ふくらはぎには下腿三頭筋の深層に長母趾屈筋、長趾屈筋、後脛骨筋といった筋があります。

これらの筋はその名前の通り、長母趾屈筋は母趾を屈曲させる(曲げる)、長趾屈筋は第2~5趾を屈曲させる、そして後脛骨筋は足関節を底屈、内反させる筋肉です。

いずれも脛骨の後面から始まって下降していく細長い筋肉なので、一般の方が皮膚の上から触るのは難しいかもしれません。

これらの筋肉は、発揮する筋力は下腿三頭筋と比べると小さいですが、歩行の際に足の裏のアーチ(土踏まず)を形成したり、バランス機能に関わる重要な役割があります。

 

ふくらはぎのストレッチのやり方

■ストレッチとは?

ストレッチは日本語に訳すと「伸張する」という言葉になります。

つまり、筋肉を伸張するのがストレッチということになります。

ストレッチのやり方は大きく関節を動かして筋肉の伸び縮みを繰り返すものや、筋肉を伸張した肢位で静止するものなどいろいろな種類がありますが、健康を目的として柔軟性を高めるために行うストレッチであれば、後者の静的ストレッチがおすすめです。

 

■腓腹筋のストレッチ

ふくらはぎのストレッチの基本となる腓腹筋のストレッチの方法をご紹介します。

1. 壁など体重を支えられるような場所に両手をついて立ち、どちらかの足を一歩後ろに引きます。

2. 後ろに引いた足はつま先が進行方向を向くようにまっすぐ置き、膝を伸ばした状態で踵が浮いてしまわないぎりぎりのところまで前に身体を倒します。

3. その状態で、壁についた手に体重をかけて20~30秒静止します。

4. ふくらはぎの筋肉の伸張感があれば、ストレッチされている証拠です。

 

■ヒラメ筋のストレッチ

下腿三頭筋の中で膝関節をまたいでいる腓腹筋に対し、ヒラメ筋は膝関節には関与せず足関節のみをまたぐ筋肉になります。

その違いを利用して、ヒラメ筋単独のストレッチを行うことができますのでご紹介します。

1. しゃがんだ状態から片足のみ一歩足を前に出して膝を立てた状態にします。

2. 立てた方の足先は進行方向を向くようにまっすぐ置き、そちらの足関節を曲げるようにゆっくりと体重を前に移動させ、踵が浮いてしまう直前の状態で20~30秒静止します。

3. ふくらはぎの下のほうに伸張感を感じれば、ヒラメ筋が伸張されている証拠です。

 

■ストレッチの注意点

ストレッチを行うにあたって注意していただきたい点をご紹介します。

 

1. 筋肉の伸ばしすぎに注意する

ストレッチをした際に、伸張される心地よさや痛気持ちいい感覚があれば問題ありません。しかし、強い痛みがあるのに我慢して続けてしまうと筋肉を損傷してしまうこともあります。

筋肉の柔軟性は日々のストレッチの積み重ねで徐々に獲得できるもので、一朝一夕では得られませんので、早く柔軟になろうと我慢しすぎないように注意してください。

 

2. 反動をつけないようにする

ふくらはぎのストレッチというと反動をつけながら足関節を繰り返し動かすような動きをされる方が多いです。

筋肉をしっかりと伸張させるためには伸張した肢位で一定の時間静止しておかなければいけませんので、反動をつけて動かないように気をつけましょう。

 

3. 関節のつまりに注意する

足関節の変形があったり筋肉やその他の皮下組織が硬くなっていると、ストレッチの肢位をとった際に筋肉の伸張感でなく足関節前方のつまる感じをもたれる方がおられます。

その場合は、ストレッチは適していませんので無理に継続しないようにしてください。
ふくらはぎをマッサージすることに変更したり、整形外科やリハビリ科のある病院を受診して専門家に指導してもらうようにしましょう。

 

ふくらはぎストレッチの効果

それではふくらはぎのストレッチが全身にもたらす効果をご紹介します。

 

■歩行の耐久性向上、疲労軽減

ふくらはぎの筋肉が柔らかくなると足関節の可動域が大きくなります。

そうすることで歩行時に効率よく足関節を動かすことができ、推進力を得やすくなるので疲労を感じにくくなったり連続して歩ける距離や時間が長くなります。

 

■膝、股関節痛の改善

足関節は、ジャンプ着地やランニングの際に最も地面から近いところで衝撃を吸収しています。

足関節の可動域が大きくなるとより衝撃を吸収しやすくなるため、膝関節や股関節への負担が減り、膝関節や股関節痛の予防・改善につながります。

 

■冷え、むくみの改善

ふくらはぎは「第二の心臓」とも言われており、心臓から末梢へ送り出された血液をふくらはぎの筋肉ポンプで末梢から心臓へ戻しています。

ふくらはぎの筋肉が柔軟になり動きがよくなると、ポンプの動きもよくなるので全身の循環がよくなります。

結果として、冷えやむくみの改善につながります。

 

■エコノミークラス症候群の予防

「エコノミークラス症候群」とは、長時間動かない状態が続くことで血の塊である血栓ができやすくなり、血管を詰まらせてしまう状態です。

名前を聞くと、飛行機のロングフライトのみが関係するのかと思われがちですが、長時間のデスクワークや高齢者などが日中に長時間不動でいることもこの原因となります。

定期的にふくらはぎのストレッチやマッサージを行うことで、循環を改善し、エコノミークラス症候群の予防につながります。

 

■美脚効果

多くの女性が憧れるのが、すらっと引き締まったまっすぐな脚ではないでしょうか。

筋肉が凝り固まって柔軟性の低い状態では、ふくらはぎがぽっこりと盛り上がったししゃも足になってしまいますが、しっかりと柔軟性のある状態では引き締まっていながら緩やかな曲線のまっすぐな脚になります。

健康的な美脚を目指すためにもストレッチは重要です。

 

おわりに

今回はふくらはぎのストレッチのやり方と効果についてご説明しました。

一日のうち数分だけ身体のケアに費やすことで全身に対してメリットのあるとても効果的なストレッチです。

三日坊主では効果をなかなか感じられませんので、是非とも継続して行っていただきたいと思います。

睡眠をとりやすくする方法

はじめに 

皆さんはどのくらいの時間睡眠をとっていますか?普通の人はもちろん筋トレをしている人にとって睡眠の質は非常に重要なものになります。

 

しかしいざ睡眠を意識しても適切なルールや睡眠を深くする方法は初めからわからないモノです。

 

今回はそんな疑問に答える為に、筋トレと睡眠の関係性の基礎的な部分に触れたうえで眠りを深くする為の5つの工夫についてご紹介していきます。

 

知っておきたい睡眠のメカニズムと筋トレを効果的にするためのルール

睡眠のメカニズム

まずは睡眠のメカニズムについて簡単なところだけ理解していきましょう。

 

▪️浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)

正しい睡眠を考えた時、人間は睡眠の時、深い眠りと浅い眠りを繰り返します。その周期は個人差はあるものの、おおよそ90分で1セットのサイクルであるといわれています。

 

理論上このセットが終わったところで起きると最もすっきりと起きることができますので睡眠時間を考える際は90分を1サイクルとして計画をたてていきましょう。

 

▪️ゴールデンタイムは就寝後3時間

筋肉を回復する成長ホルモンが最も分泌される時間は就寝後3時間と言われています。ですので筋トレの効果を上げるためには就寝後3時間の質を高める必要があります。

 

▪️就寝時の体温変化

質の良い睡眠と体温の関係性は切っても切り離せません。人間は入眠に備えて深部体温を徐々に下げていきます。体温を下げる為に大切なメカニズムが熱の放散です。最も熱を放散させる部位は手足の末端部分です。

小さなお子様の手足が寝る前に暖かくなる現象を経験した方もいるとは思いますがこの現象がまさにこの放散に由来するといわれているんですね。

 

▪️メラトニンと睡眠時間

深夜3時ごろから「メラトニン」という睡眠ホルモンが活発になります。メラトニンは体温を上げ、朝に向け体を起こす準備をするためのホルモンです。

 

筋トレの効率を上げるためのルール

上記の睡眠のメカニズムを理解した上で筋トレを行う上で最も基本的なルールを把握しておきましょう。これは筋トレした筋肉の回復を促す成長ホルモンの分泌、後日に疲れを残さず日常生活を送る為の大前提のルールです。

 

▪️入眠は10時~0時のタイミングで

 

寝るタイミングは重要です。

 

上記の説明のように覚醒するためのホルモンのメラトニンが活発になるのが深夜3時ごろからと言われていますのでこの時間にゴールデンタイムの就寝後3時間が被ると疲労回復の効率は悪くなります。

 

ですので遅くとも0時には睡眠の状態に入っておく必要があります。

10時から2時までがゴールデンタイムという話がありますが大事なのはこの時間の中で入眠することではなく、この時間には『すでに眠りについている』ということなんですね。

 

▪️少なくとも6時間以上は就寝する

最も理想的な就寝時間は6~9時間と言われ、それぞれの疲労具合で寝る時間を調整する必要があります。

 

就寝は90分サイクルで訪れますので、理論上、筋トレをしている人はしていない人よりも長く眠ることが疲労を回復する上で必要なはずです。

 

6時間よりも少し長めの7時間半から始めてみてはいかがでしょうか。

 

▪️就寝直前には筋トレを行わない

適度な時間の筋トレは睡眠を深くするという研究がありますが、筋トレを就寝直前(30分前など)に行ってしまうと交感神経(目が覚める神経)が刺激され寝付けなくなってしまいます。寝る時間を前提としたトレーニングスケジュールを組みましょう。

 

▪️毎日規則的に行う

寝るタイミング、寝る長さを意識してもそれが毎日バラバラでは意味がありません。

 

毎日同じ習慣で行うことで生活リズムが安定します。夜更かしや過度な早起きがないように普段から寝る時間を前提としたスケジュール調整を行うように仕事や家事のスケジュール調整も必要になってきますね。

 

まずは4つのルールを普段から取り組めているかを確認しましょう。これからご紹介するような睡眠の取り組みを行っても上記のルールでできていなければ効果は上がりませんよ!

 

睡眠の質を上げる為に取り組みたい5つのこと

睡眠の質を上げる為には入眠時3時間をぐっすり寝られることと深い睡眠ができることが重要になります。下記の5つの取り組みは『寝つきをよくすること』『ぐっすり眠ること』為に効果的な方法と言われています。

 

①体温の上昇、スムーズな熱放散を促す為に運動をする

就寝前の運動については適度な疲労感の運動であれば問題ないとする理論もありますが、筋力を増やすような本格的なトレーニングは就寝前は避けるべきです。

 

よい睡眠をとるためには就寝前の時間は避けましょう。生活サイクルがあるのでこの時間と限局することは難しいですが、筋トレに最適な時間は16:00~18:00の夕方の時間帯が最も適切と言われています。

 

しかし普段仕事などをしていてこの時間にトレーニングできない人がほとんどでしょうから、食事と就寝の兼ね合いを考えたトレーニングの時間設定が重要となります。

 

一般的に食後すぐ~2時間程度は筋トレを行う時間には向きません。ですので食後2時間後程度から筋トレをはじめて遅くても就寝の2時間前には終了しているぐらいの時間帯が適しているといえます。

 

この間に入浴やリラックス効果のある取組身をしてさらに入眠への質を高めましょう。良質な睡眠だけを狙うのであれば筋トレよりもジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を取り入れることでさらに睡眠の質を高めることができるといわれています。

 

②熱すぎるお風呂は深い睡眠の妨げに

お風呂に入った後なんとなくさっぱりするという理由で極端に熱いお湯につかっていませんか?

 

入浴の方法と睡眠の質は大きくかかわっており、最も睡眠の質を上げる為に適した温度は度から40度程度の熱すぎないお湯に分ほどの入浴がいいといわれています。

 

睡眠に関する書籍として有名な『スタンフォード式最高の睡眠』の著者である西野教授によると入浴する時間は睡眠前の体温上昇から睡眠直前の体温低下に向けてのメカニズムから、最も適切なのは就寝90分前とのこと。

 

寝る直前にお風呂に入る方もいますが、質の高い睡眠を手に入れるためにはお風呂に入っている時間だけでなく入るタイミングも意識する必要があるということですね。

 

③ 寝具で睡眠の質は大きく変わる

睡眠をとる環境は大きく影響します。温度の管理は夏場なら冷やしすぎず、冬場は熱すぎず設定することが重要です。夏は26℃以下、冬場は16℃から19℃が適切です。

 

また寝具も重要で、良質のマットレスや布団は睡眠の質を向上するための科学が詰まっています。全ての人に適応するわけではなく価格もそれなりにするものが多いですが眠りは人生の3分の1を占める作業です。

 

自己投資だと思ってショールームなどで試してみて自分に合ったものがないかを見つけて見てもいいですね。

 

④眠りの直前にカフェインは摂取しない

眠りにつく直前はできるだけ神経がリラックスしている状態になっている必要があります。

そのため睡眠前に覚せい作用のあるコーヒーやエナジードリンクなどを飲むことは避けましょう。コーラなどのソフトドリンクやチョコレート等にもカフェインが含まれているので注意です。

 

どうしても寝る前に何か飲みたいというかたは緑茶は少量にする(ストレス緩和作用もある為)、牛乳やハーブティーなどはリラックス効果があるとされているのでOKです。

 

さらに食材にもこだわりたい場合はトリプトファンという食材がリラックス効果にいいとされています。トリプトファンはレバーや鶏むね肉、まぐろ、カツオなどの魚、大豆や乳製品、アーモンドなどに含まれていますので夕食の食材に取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

⑤その他

睡眠前にアロマや、音楽(川のせせらぎなどの自然の音、クラシック音楽など)でリラックス効果を高めることができます。

 

普通は静かな状況が望ましいですが、部屋の環境上どうしても近隣施設や道路の音が気になるという方はこのようなリラックス効果の高い音を使用して打ち消してみるのも手ですね。

 

さいごに

いかがでしょうか。筋トレと睡眠の関係性と睡眠のメカニズムを知ることによって以外に簡単な方法でみなさんの睡眠の質が改善できる可能性があることがお分かりいただけたと思います。

 

一生懸命取り組んでいる筋トレが少しでも身を結ぶように今日から睡眠改善の工夫を実践してみてはいかがでしょうか。

これってなんの痛み?膝の外側の痛みと対処法

はじめに

膝の痛みは運動中のアクシデントや特にきっかけなく発症したものなど発生の仕方は様々です。

また、膝と言っても痛みのある部位は内側や外側、表側や裏側など様々です。

今回は膝の痛みの中でも外側の痛みについて痛みの原因や対処法についてご説明します。

 

膝関節の構成

まずは、膝関節を構成する組織について説明します。

■骨

膝関節は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)と膝蓋骨(お皿の骨)から構成されています。

一般的に膝と言われるのが大腿骨と脛骨で作られる関節で『大腿脛骨関節』と言います。

大腿骨の下端は二つの大きく隆起した部分が内外側にあり、脛骨の上を滑りながら動くことで蝶番のような屈伸運動となります。

また、膝の屈伸に伴い大腿骨の前側では膝蓋骨が上下に滑るように動いており、ここで形成される関節を『大腿膝蓋関節』と言います。

脛骨の外側には腓骨という細い棒状の骨が脛骨と平行に並んでおり、脛骨と関節を形成していますが、動きはほとんどなく、一般に言われる膝関節の動きには関与していません。ただし、膝や足首に関わる靭帯は一部付着しています。

 

■靭帯

靭帯は骨と骨をつなぐ筋肉よりも硬く伸張性のない組織で、関節がグラグラしないように守っています。

関節捻挫などで、靭帯を断裂すると関節がグラグラして不安定性がでたり、脱臼したりしてしまいます。

膝関節には4つの大きな靭帯があります。大腿脛骨関節の内側にある「内側側副靭帯」、外側にある「外側側副靭帯」に加え、大腿脛骨関節の中で二つの骨をつないでいる「前十字靭帯」と「後十字靭帯」があります。

 

■半月板

膝関節は歩行やジャンプなどで常に膝から上の全体重を支え、大きな衝撃を吸収しなければなりません。

そこで、大腿脛骨関節の間には「半月板」という水分を多く含む組織があり、クッションの役割をして関節を守っています。

大腿骨下端の形状の特徴である二つの隆起に合うように、脛骨上端の関節面の内側には「内側半月板」、外側には「外側半月板」があります。

 

膝の外側の痛みの原因

それでは、膝関節の外側の痛みの原因について代表的なものをご紹介します。

 

■変形性膝関節症

加齢やスポーツでの膝の使いすぎにより膝関節の軟骨がすり減ったり、大腿骨や脛骨自体の形状が変形することを「変形性膝関節症」と言います。

膝の内側に痛みがでることが最も多いですが、外側に痛みがでる場合もあります。

外側に痛みがでる場合の特徴としては、X脚であることがあげられます。

股関節周囲の筋力不足や外反母趾などの足部の問題からX脚になってしまうと、膝の内外側の荷重バランスが崩れ、外側の荷重が強くなってしまいます。

そのような状態で長年歩行を続けていると、外側の軟骨ばかりがすり減ってしまい、大腿骨や脛骨の外側の変形が強くなり、痛みが生じます。

膝の屈伸や歩行で痛みがでることが多く、炎症が強いと安静時痛を伴うこともあります。

 

■外側半月板損傷

膝関節は大腿骨と脛骨が蝶番のように動き、屈伸運動をするようになっています。

股関節や肩関節のように様々な方向に動かせる関節でないので、捻られる動きに弱く、体重がかかった状態で膝を捻るような動きをすると大腿骨と脛骨の間にありクッションの役割をしている半月板をすりつぶすようになってしまいます。

運動中の捻挫などで半月板を傷めてしまうこともありますが、X脚で荷重を続けることで徐々に外側半月板を傷めてしまうこともあります。

半月板損傷の特徴として、荷重痛や膝の屈伸時にある角度で急に膝が動かなくなってしまうロッキング現象などがあります。

 

■外側側副靭帯損傷

外側側副靭帯は運動中の関節捻挫や歩きすぎ、走りすぎなどのオーバーワークで傷めることがあります。

ランニングやジャンプの着地などでバランスを崩し、膝の外側に体重がかかりすぎたときに膝の外側が引きのばされるような状態になり、大腿骨と脛骨の外側を繋いでいる外側側副靭帯が損傷したり、断裂したりしてしまいます。

膝の屈伸や荷重時の痛みもありますが、断裂の程度が強いと、膝の外側に体重がかかったときにガクンと抜けるような感覚があるのが特徴です。

 

■腸脛靭帯炎

股関節の外側に「大腿筋膜張筋」という筋肉があります。

大腿筋膜張筋は大腿の外側で腸脛靭帯という靭帯組織に移行しており、腸脛靭帯は脛骨の上端に付着しています。

腸脛靭帯は外側側副靭帯とともに膝の外側を守り、膝関節を安定させることに役立っています。

股関節周囲の筋力が弱く歩行やランニングで膝が外側に抜けるような、O脚になるようなフォームになっていたり、片脚に体重を寄せた状態で長時間立ちっぱなしでいるようなことがあると腸脛靭帯に伸張ストレスがかかります。

その結果腸脛靭帯が炎症を起こし、痛みを伴うことがあります。

 

■膝蓋骨周囲炎

膝蓋骨(お皿)の周りには膝蓋骨の動きを制動するための靭帯や、クッション材としての脂肪組織があります。

膝の内側の筋力が弱くなってしまうと膝蓋骨が相対的に外側に引っ張られることになり、正常な位置から外れてしまいます。

そのような状態で歩行や屈伸を続けると膝蓋骨の外側に圧がかかりすぎてしまい、膝蓋大腿関節や膝蓋骨外側の脂肪組織が炎症を起こしてしまいます。

 

膝の外側の痛みに対する対処法

膝の外側に痛みを感じたとき、ご自分の膝の状態が少しでも理解できていれば痛みを和らげるために気を付けたり対処できることがあるかと思います。

早めに自分で対処することができれば、悪化することなく治ってくる場合もあります。

ここでは、膝の外側に痛みがある場合にご自身でできる対処や日常生活での注意点をご紹介します。

 

■消炎処置を行う(安静、アイシング、湿布)

膝の外側に痛みがあるとき、何かしらの組織に炎症が起こっていることを考えます。

痛みのほかに「腫れ」、「熱感」、「発赤」が見られるときは強い炎症がある証拠なので、炎症を落ち着かせることで痛みが改善する可能性が大いにあります。

炎症を落ち着かせるためには運動はもちろん、必要以上に歩いたり膝の屈伸をせず、なるべく安静にすることが第一です。

また、氷嚢で患部を冷やしたり、湿布を貼るなどの処置も炎症を落ち着かせるのに効果的なので積極的に行ってみてください。

 

■膝を捻らないように気を付ける

正常な膝関節の運動は屈伸運動のみなので、捻りの動きが苦手です。
膝関節が捻られると膝の外側では外側側副靭帯、外側半月板をはじめとした組織が損傷されてしまいます。

具体的に捻る動作とは、足を地面につけたまま振り返ったり向きを変える動作、ジャンプの着地でバランスを崩して膝がO脚やX脚になるような動作などです。

膝に痛みを感じているときは、膝を捻らないようにするためにつま先と膝が常に同じ方向を向くように意識してゆっくり動くようにしましょう。

 

■痛みのでる動作を避ける

痛みを感じ始めてからしばらく経つと、痛みがひどくなる動作と痛みなく行える動作が分かってくるかと思います。

傷めている組織によって異なりますが、体重をかけること、捻ること、しゃがむこと、伸ばすことなど動作によって痛みが増悪する動作は控えるようにしましょう。

 

おわりに

今回は膝の外側の痛みがある場合に考えられる原因や対処法をご説明しました。

この知識を参考に、ご自分の膝の痛みが何によるものなのか、原因はなんなのかを考えていただき、できる範囲で対処をしてみていただきたいと思います。

1週間前後セルフケアで様子を見ても改善しない場合、自分なりの対処をしているにもかかわらず悪化していくような場合は、専門家の診断を仰いだ方がよいかと思いますので、整形外科を受診し適切な検査や処置を受けるようにしてください。